プロ野球選手が引退を迫られたとき、その後の選手の対応は2通りある。1つはしがみついてでも現役生活を送ること。もう1つは潔くスパッと引退してしまうこと。元横浜DeNAベイスターズ投手・小杉陽太氏は迷わず後者を選んだ。
「現役生活を終えたら何をやろうかなっていうのはずっと考えていました。僕にとってラッキーだったのは、親会社が変わっていたこと。DeNAの南場智子会長、春田真さん(前会長、前球団オーナー)、池田純さん(執行役員、前球団社長)らと巡り合えたことは、僕にとって人生のターニングポイントとなりました」
現役時代、DeNAの役員と話した際、小杉氏には忘れられない言葉がある。
「仕事を遂行するには熱量を持つこと。結果を出し続けること。結果を出さないと、評価を得られない」
このときDeNAが掲げた目標は、「5年以内にAクラスに入って、クライマックスシリーズに進出すること」だった。当時の横浜はセ・リーグのお荷物球団と揶揄され、「優勝するには横浜をお得意さんにすればいい」などと言い放つ者さえいた。
だが、DeNAはその言葉通り、2016年シーズンに3位に入って初のクライマックスシリーズ進出。17年は3位からクライマックスシリーズを勝ち抜き、日本シリーズ進出を果たした。選手のみならず、球団職員やファン、近隣住民までも巻き込んでチーム改革に成果を出したDeNA。そのことが小杉氏には衝撃だった。
弱小チームにできて、自分にできないはずがない。現役引退後、新たなビジネスに挑戦した。
「広告やスポーツ系イベント、ブライダル、飲食などの業界とかかわってビジネスを行っています。まだまだ経験不足であることは日々痛感していますが、多くの人たちとの出会いが今の僕を支えています」と言う小杉氏。
さらにプロ野球よりも他の競技のほうが厳しい環境下にあることも最近になって知った。
「経営者になって以降、野球以外の競技をしていた元アスリートの経営者の方とお会いする機会が、何度かありました。すると他の競技では2~3年でクビを切られるようなことはザラにあって、年俸の面では、『どんなにがんばっても数百万円程度』と聞きました。