「約200語を覚えられる」人間があまり知らない猫の知能

| 新刊JP
「約200語を覚えられる」人間があまり知らない猫の知能(*画像はイメージです)

一般社団法人ペットフード協会の「2018年全国犬猫飼育実態調査」によると、犬890万3000頭、猫964万9000頭で、2年連続で飼い猫が飼い犬を上回った。

なぜ、猫はこんなにも人を魅了するのか?

■「猫の知能は人間の2~3歳児程度」は本当か?

解剖学、動物行動学の知見を駆使して猫の脳の仕組みを解説し、私たちが愛してやまない猫の生態に迫るのが『猫脳がわかる!』(今泉忠明著、文藝春秋刊)だ。

著者の今泉忠明氏は、50年以上前にイリオモテヤマネコの研究に携わって以来、猫に魅了されている動物学者。シリーズ累計350万部を突破した『ざんねんないきもの辞典』シリーズ(高橋書店刊)の監修も務めている。

気まぐれで本能の赴くままに自分の行き方を貫き通しているように見える猫。こうした猫の性質は「脳」を見ることで解明されるという。

脊椎動物の脳は大まかに、脳幹、大脳辺縁系、大脳新皮質の三層構造になっている。この点では猫も人間もほぼ同じだ。

ただ、猫と人で大きく違うのが大脳新皮質。
大脳新皮質とは、言語機能をはじめ、合理的な思考や倫理性などの思考全般をつかさどる部位として知られる。人間の脳では、この部位が多くを占めるが、猫のそれは非常に小さくて発達していない。

猫は大脳新皮質がうっすらとしかないので、物事を筋道立てて考えることが物理的にできないと考えられる。ただし、うっすらとではあるが存在するので、理性があるような、何か合理的に考えているような節が見られる場合もある。猫の脳の研究はあまり進んでいないため、このように解明されていないところも多いという。

一方、人より発達しているのが、感情をつかさどる部位で本能や性行動に関わる大脳辺縁系だ。この中には、記憶と関係が深い海馬や扁桃体などがある。

扁桃体は、不安や恐怖をつかさどる部位で安全か危険かを判断するところ。猫の警戒心の強さは扁桃体がしっかり働いているためで、飼い猫でも野性味を残しているのは、大脳辺縁系が発達しているためだ。

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