神無き時代の宗教としてのUFO

| 心に残る家族葬
神無き時代の宗教としてのUFO

天国、天界、極楽、…この世ならざる彼岸の彼方にもうひとつの世界を夢見ることは人類に共通であるようだ。それは生の苦しみや死の恐怖から逃れたいという心の安寧を求める切なる願いである。近代科学の発展は人類をその夢から醒ましてしまった。そうした中にUFOという他界からの使者がやってきたのである。

■宇宙開発が与えたものと奪ったもの

他界の伝承には、沖縄の「ニライカナイ」、チベットの理想郷「シャンバラ」など、海の果てや地下世界として伝わるものもある。その中でも代表的なのは空の彼方、天上界だろう。翼を持たない人類は輝く太陽や月、満天の星空に神の世界を見出していた。一方で自然科学の発展が宇宙の仕組みを少しずつ解明していく。そして20世紀、人類はついに地球からの離脱、宇宙への参入を実現していった。宇宙開発は科学の発展がもたらす夢とロマン溢れる未来世界への道筋であった。それは同時に天上の楽園の喪失でもあった。

神や天界の存在は人間では検証不可能な命題であり、人智の及ばぬ深い霧の向こうの世界であった。逆に何を夢見ても実在する余地が残されていたとも言える。しかし、科学は容赦なくその霧を払ってしまう。月にウサギはいなかったし、火星にタコもいなかった。何より宇宙に神はいなかった。人類は他界に参入したことで、他界を失ったのである。

■宇宙からの使者

UFOとは「unidentified flying object」(未確認飛行物体)の略である。正体不明の飛行物体、あるいは現象を指す航空軍事用語が本来の意味であるが、一般的には地球外知的生命体である異星人が搭乗する乗り物「エイリアンクラフト」とほぼ同じ意味として認識されている。UFOとおぼしき現象を伝える伝承は古代から存在するが、現代におけるいわゆるUFO現象が定着したのは、1947年6月24日にアメリカ人のケネス・アーノルドが9体の正体不明の物体を目撃したとされる「ケネス・アーノルド事件」である。当時マスコミはこの事件を大々的に扱い「空飛ぶ円盤」(Flying Saucer)という名称もこの時生まれ、6月24日は「UFO の日」とされている。

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