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神無き時代の宗教としてのUFO (2/3ページ)

心に残る家族葬

この事件の真相は気象観測用の気球だったのではなどの懐疑的な見方が大勢を占めているが、少なくとも人々の意識にUFOが飛来したことは事実である。

ケネス・アーノルド事件から10年後の1957年、ソ連は人類初の人工衛星 スプートニク1号の打ち上げに成功。人類は宇宙へ、UFOは地球を目指していた。そもそもエイリアンクラフトとしてのUFOの存在云々は問題ではない。広大な宇宙のどこかに知的生命体が存在していると考えることは不自然ではないし、現在でも地球外知的生命体とのコンタクトを試みる「SETI」計画(地球外知的生命体探査)が行われている。UFOと異星人は宇宙開発の延長に語られるファンタジーだった。それが一部の人々の間で奇妙な変化を起こすことになる。UFOの宗教化である。

■神憑るUFO

「ベントラ ベントラ スペースピープル」年配の諸兄なら懐かしく思われるのではないだろうか。これはコンタクティ(異星人と接触したと称する人たち)のジョージ・ヴァン・タッセルが異星人からテレパシーで教わったとする、UFO召喚の呪文である。日本でも手をつないで円陣を組み、この呪文を唱えてUFOを召喚しようとする人達が多くいた。筆者が小学生の頃に購入した本にはUFOに会いたいと願いながら、懐中電灯を空に向けるなどの方法が書かれていたと記憶する。なぜ地球より遥かに文明の発達しているはずの異星人(そうでなくては他惑星である地球を訪問できない)が、地球人の唱える呪文や願いに応じなくてはならないのか。これは魔術師が行う天使や悪魔召喚が形を変えたように見える。つまり人間より上位の存在を他界から呼び寄せる行為である。

コンタクティの元祖とも言える、ジョージ・アダムスキー(1891〜65)らが接触したとする異星人は愛や平和を説き、人類が滅びの道へと進んでいることなどを警告する。こうなるとUFOは知的生命体というより神仏に近くなり、20世紀における新たな神として迎える宗教すら生まれる。スイスに本部を置く宗教団体「ラエリアンムーブメント」はその代表的な団体で、地球上の生命はエロヒムなる異星人によって科学的に創造されたと説く。エロヒムの星の近くには選ばれた者のみが入ることができる「不死の星」があるという。

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