実務上、往々にして問題になることの一つに、非上場株式を譲渡する場合の、時価算定があります。税務上、取引は時価で行わなければなりませんので、非上場株式を売る場合も時価で売却する必要があります。しかし、非上場株式は相場がないため、別途評価しなければなりません。
この点、税務上の通達では、譲渡における非上場株式の評価について、相続税における非上場株式の評価を準用して算定することが出来るとされています。
■相続税の評価
相続税において非上場株式を評価する場合、株主の属性が問題になります。ごく簡単に申し上げると、会社を支配するような大株主(同族株主)は会社の純資産などを前提とした高い評価(原則的評価)となり、それ以外の少数株主は、会社の配当を前提とした低い評価(例外的評価)になります。
この株主の判定の時期について、相続税は相続があった「後」の株主で判断することになると通達で明記されています。一方で、株を譲渡する場合については、相続税の評価を準用するといいながら、譲渡「前」で見るべき、というのが通説です。
■裁判で争い
通説と申しましたので、実は譲渡の際の株主の判定の時期は、必ずしも明確という訳ではありません。この点、先日の裁判で争われ、その高裁判決は通説を覆し、相続税の通達を準用するといっている以上、明確なルールが定められていないのであれば相続税と同様に考えるべきで、譲渡「後」で株主を判定できるとしました。
この判決は非常に画期的で、多くの税務論文に解説が掲載されるなどしていましたが、明確でないにしても正しい在り方としてが譲渡「前」で見るべきと結論付けられます。このため、この判決に疑問も寄せられていたのですが、先日その高裁判決が最高裁で破棄差戻しとなりました。すなわち、最高裁は今までの通説の通り、譲渡「前」で株主を判定すべきとしたのです。
■解釈は字面だけではだめ
本来、税のルールは明確にすべきですので、このような最高裁判決があるにせよ、明確にしていなかった国税に本件は責任があることも事実です。しかし、本来法律の解釈は字面だけを追うものではなく、趣旨なども見るべきですので、本件はやはり通説の通りに考えるべきと結論付けられます。
相続税における非上場株式の算定について直近の判例を交えて解説
2020.07.30 19:00
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