東京都台東区入谷(いりや)の奥まった裏道に、小さな神社がある。百人一首の「わたの原 八十島かけてこぎ出(い)でぬと 人には告げよ 天の釣舟(つりぶね)」の作者・小野篁(おののたかむら、802〜852)と「学問の神様」で知られる菅原道真(すがわらのみちざね、845〜903)を御祭神とする小野照崎(おのてるさき)神社だ。
■小野照崎神社には藤沢秀行の絶筆として「強烈な努力」と刻まれた記念碑がある
境内の片隅には、「強烈な努力」と浮き彫りにされた現代アート風の黒い記念碑がある。それは、「昭和」らしい生き様を貫いた名誉棋聖・藤沢秀行(1925〜2009)の絶筆だ。そしてその碑の足元には、黒い碁石を模した小さな板があり、
碁は芸である/碁には個性、生き方/その人間のすべてがあらわれる
無限に続く芸の道は厳しいが/ひたむきに歩む者は幸せだ
人間を高め、力をつけよ/自分にしか打てない碁を追求せよ
これだけは伝えたい/強烈な努力が必要だ/ただの努力じゃダメだ/強烈な、強烈な努力だ
という藤沢の言葉と、彼の死の1年後に、その功績と志を後世に伝えるために建立されたことが記されている。
■「強烈な努力」をし続け、輝かしい成績を残した藤沢秀行
「強烈な努力」という言葉を残した藤沢は、終戦後の昭和23(1948)年に第1期青年棋士選手権に優勝してから、平成10(1998)年に引退するまで、囲碁界の最高峰の「棋聖」戦で6連覇を達成するなど、輝かしい成績を残している。
ただただ囲碁が強かった。
藤沢秀行名誉棋聖が絶筆として遺した「強烈な努力」を考えてみる
2020.09.14 19:00
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心に残る家族葬