暗い夜道を歩いていると、急に防犯ライトのセンサーが反応して灯りがパッと点く光景というものは、頼もしく感じる反面、自分が犯罪者予備軍として疑われているのでは?と思ってしまうことも少なくありません。
とかく世知辛い昨今なれば仕方もあるまいとは思いながら、こういう心情は昔も変わらなかったようで、今回は鎌倉時代の随筆集『徒然草(つれづれぐさ)』より、筆者の吉田兼好(よしだ けんこう)が体験した、とあるがっかりエピソードを紹介したいと思います。
せっかくの感動を……吉田兼好、がっかりの巻ある年の10月ごろ、京都郊外の来栖野(くるすの。現:京都市東山区)を過ぎて山道へ入っていった時のこと。
苔むした細い道を踏みしめて進んで行くと、心細げな一軒家を見つけました。庭の懸樋(かけひ。水をめぐらすためにかけた樋)からしたたる水滴の音よりほかは、しんと静まり返っています。
屋外の閼伽棚(あかだな。祭壇)には菊の花や紅葉の枝などが飾ってあり、なんとも閑雅な風情に「さぞや『もののあはれ』を解する方がお住まいなのだろう」と感心していると、向こうの木々に黄色い輝きを発見しました。