世の中は常に進歩しており、いつまでも旧態依然としたシステムや仕事ぶりでは、時代から取り残されてしまいます。
とは言うものの、ただやみくもに目新しさだけを求めても仕方なく、進取果敢の取り組みにも充分な吟味が必要です。
新しいことは良くも悪くも目立ちやすく、成果よりも行為自体が評価されがち。
「いいんだよ、どうせ庶民なんて『改革』自体が大事なんであって、中身なんて興味ないんだからさ」
仮令その実態が朝三暮四であっても、何かした(してくれた)感はあるため、手っ取り早い人気とりのパフォーマンスとして、今日も濫用されています。
しかし、そうしたうわべだけのパフォーマンスは大抵ロクな結果を招かぬもので、江戸時代の武士たちもしばしば困惑していたようです。
今回は武士道のテキストとして有名な『葉隠(はがくれ。葉隠聞書)』より、佐賀藩のとある事例を紹介したいと思います。
依怙贔屓(えこひいき)な人事の結果……今は昔の延宝8年(1680年)、江戸への参勤交代を前にして御側年寄(おそばどしより。家老)たちが僉議(せんぎ。会議)を行いました。