平安文学の最高傑作『源氏物語(げんじものがたり)』と言えば、主人公の光源氏(ひかるげんじ。源光、光の君)を取り巻く多彩な女性陣を連想する読者が多い事でしょう(筆者もその一人です)。
しかし登場するのはやんごとなき貴婦人ばかりではなく、一風変わった強烈な個性のキャラクターも舞台を賑わします。
今回はそんな一人、近江の君(おうみのきみ)を紹介。笑われ役として登場する彼女ですが、筆者は嫌いじゃありません(願わくは、あなたも好きになってくれますように)。
さて、どんな人物なのでしょうか。
「あたいがんばる!」おてんば少女の姫さま修行近江の君は光源氏のライバル・頭中将(とうのちゅうじょう。藤原氏だが実名は不詳)の娘ですが、母親は身分の低い女性で、父親からはその存在=生まれたことさえ知られていませんでした。
(※頭中将は通称で、物語が進んで出世すると呼び名も変わりますが、便宜上一貫します)