がんばる姿が愛らしい『源氏物語』のヒロイン?おてんば少女「近江の君」の姫さま修行 (3/4ページ)
気持ちは解らなくもありませんが、自分の都合で呼んでおいて、気に入らなければ粗末に扱うというのは、いくらなんでも身勝手ではないでしょうか。
「う~ん……」
そんな父親の姿を見て(会いに来てくれないけど)、近江の君も悩みます。
「お父ちゃんが可愛がってくれるように、あたいがもっとがんばらなくちゃ!」
とまぁ実に健気な近江の君は、どうにか父親に気に入ってもらえるよう、あれこれとがんばるのですが、そのベクトルが根本的に間違っていたため、よりいっそう評判を落とし、ますます嫌われてしまうという悪循環に。
「……ちぇっ、何さ何さ。あたい、あんなにがんばってお便所掃除までしたのにさ!」
どこまで行っても、貴族社会における「がんばる」が理解できないまま、近江の君は物語からフェイドアウトしていくのでした……。
(創作では「もう貴族なんかやめた、帰ろ帰ろ!」と、自由を求めて旅立っていく様子が挿入されることもあります)
終わりに……とまぁこんな具合にさんざんな近江の君でしたが、どうしてこんなに散々かつ玉鬘と対照的なのでしょうか。
どうやらこれらのエピソードは「女の子のお作法教科書」的な側面を持っていたと言われ、玉鬘がよいお手本、一方の近江の君は悪いお手本として、対極的に描かれたそうです。