一度は劇場やテレビで公開されながら、その後は、二度と日の目を見ることがなかった…。そんな哀しき作品群はこんなにあった…。
現在、好評オンエア中の「日本沈没─希望のひと─」(TBS系)は、言わずと知れた小松左京氏の大ベストセラーが原作。1974年の正月映画として東宝で公開され、同年の興行収入1位を記録した。
これに続き、同年に東宝で映画化されたのが「ノストラダムスの大予言」だ。五島勉氏がノストラダムスの予言詩を独自の解釈で翻訳し、人類の終末をクローズアップして描いた。映画評論家の秋本鉄次氏が解説する。
「同年の興行収入は『日本沈没』に続いて2位です。ところが、公開中に各方面から抗議を受けてフィルムが次々とカット。特に、放射能を浴びた食人族や、核戦争後の不気味な新人類の誕生は、被爆者団体や反核団体などから上映中止を求められました」
公開から12年後の86年、ビデオとレーザーディスクの発売が告知されたが、東宝内部の反対により、見送られている。
日本が世界に誇る作家・三島由紀夫の生涯を描いたのが「MISHIMA」(85年、ワーナー・ブラザース)で、製作総指揮にフランシス・フォード・コッポラとジョージ・ルーカスが名を連ねた豪華作。前出・秋本氏によれば、主演は緒形拳ですが、日本では公開されず、DVDも発売されていません」といい、少年期の、自分で慰める行為をするシーン描写などを巡って、三島「夫人が強硬に反対したようです」とのことだ。
「三島が自身で監督した『憂國』(66年、ATG)も、美輪明宏と共演した『黒蜥蜴』(68年、松竹)も、同様に遺族の反対で封印されています」(秋本氏)
80年代の邦画史に多大な功績を残した伊丹十三氏だが、初めてホラーに挑んだ「スウィートホーム」(89年、東宝)では製作総指揮のクレジット。監督は黒沢清氏に任せたところ、ビデオ化の編集を巡って黒沢監督が伊丹氏を提訴。その影響か、DVD化には至っていない。
80年代に世を騒然とさせた戸塚ヨットスクールを、1億円もの予算で描いた異色作が「スパルタの海」(83年、東宝東和)だ。ところが公開直前に訓練生の死亡や行方不明が多発。戸塚宏校長らが傷害致死などで逮捕され、社会問題に発展した。