高校生の頃、私はとある芸能人に本気で恋していた。俗に言う「ガチ恋」である。マジで付き合いたいと思っていたし、携帯のフォルダはその人の写真でいっぱいだった。なんならその芸能人の写真の横に自分の写真を並べた雑なコラ画像も持っていた。イタすぎて動悸がしてきた。それなりに金を積むから誰かこの記憶を抹消してくれ。
しかしここからが本題である。そんな私の目の前に、その芸能人に超そっくりな教育実習生がやってきてしまった。全校集会で紹介された先生(以下、S先生)を見た瞬間、「これが私の、運命の人~ッ!?」と叫びながらXジャンプで窓をバリィーン! と突き破った。というのは完全に嘘だがそのくらいの高揚だった。ぜってー付き合いたい。私は猛アタックすることを決めた。
■アグレッシブすぎる猛アタック
S先生は現代文の先生で、隣のクラスを受け持っていた。私はほとんど接点がないにもかかわらず、隣のクラスにいる友人との雑談に混ぜてもらったり、授業終わりの時間を狙って話しかけに行ったり、「職員室の前の廊下にいるよ!」という目撃情報があれば飛んでいき偶然を装って挨拶したりするなど、トップ営業マンばりに猛烈に接点を作り出していった。
誰から見ても好きなのはモロバレだったと思うが、S先生はそんな私にも気さくだった。少しかすれている声。笑うと細くなる目。くせ毛。大きい靴。きれいな字……好きなところを見つけすぎて私の「付き合いたいバロメーター」は完全に振り切れていた。
そして友人のファインプレーによって、ついにS先生のメールアドレス獲得に成功する。
初めてのメール、どんな文章を送るかが大事である。友人たちと小一時間考えた結果、私は「次のテストで良い点数を取れたら、ご褒美をください!」と、勇気を出して送信した。ちなみに現代文は私の得意科目。絶対に良い点数が取れる自信があったのである。
ご褒美は何が良いか。デートに行くか。私物をもらうか。下の名前で読んでもらうとかも良いよね、なんて、ウブな私達は話していた。