げっ歯類の仲間で、アメリカやヨーロッパに分布し、河川や湿原に生息するビーバー。
この動物を特徴付けるものといえば、木を前歯でかじる愛らしい姿と「ダムづくり」だ。
川の真ん中に木の枝などを使って障害物をつくり、流れを封鎖し、ダムをつくる。
しかし、多くの人はビーバーという動物について、それ以上のことをあまり知らないだろう。そして、彼らの生態や秘めている可能性について、掘り下げれば掘り下げるほど、驚きを覚えるはずだ。
その可能性の一つに、「ビーバーは世界を救う存在かもしれない」というものがある。
彼らが世界を救うとは一体どういうことなのか?
どのようにして世界を救うのか?
ビーバーの素顔を照らした一冊『ビーバー: 世界を救う可愛いすぎる生物』(ベン・ゴールドファーブ著、木高恵子訳、草思社刊)からそのユニークな生態と、彼らに期待されている「使命」について紹介しよう。
■外見からではオスとメスが分からない。どうやって判別をする?ビーバーには不思議な点がある。それは哺乳類であるにも関わらず、一目見ただけではオスとメスの判別がつかないということだ。どこを探しても生殖器が見つからないのである。
実はビーバーは外生殖器を持たない。冬の終わりに繁殖期になり、ようやくオスに身体的な変化があらわれるのだが、それ以外のときは外から生殖器が見えないようになっている。
しかし、外見的な違いがないにも関わらず、私たちが雌雄を判別するのは可能だという。一体どうやって?
その答えは「匂い」だ。ビーバーの強い香りを放つ分泌物は、古くから消費されてきた歴史がある。最も有名なのが海狸香(カストリウム)で、シャネルやゲランのシャリマーなどの香水の原料として、またはヨーグルトやフルーツドリンクなどの添加物として使用されてきた。
ただ、ビーバーの匂いはそれだけではない。ビーバー同士で個体を識別し、コミュニケーションの役割を果たす匂いがある。それが、「肛門腺」から発せられる匂いだ。