遺書がなく相続人がいない場合、家庭裁判所が「相続財産管理人」を選任し、相続人を捜索する。それでも相続人が見つからない場合、行き場を失った遺産は、最終的に国庫に帰属する。孤独死の増加が社会課題となっている今日、遺産の相続人がいないケースが増えている。そんな中、注目を集めているのが特定の慈善団体等に寄付をする「遺贈寄付」だ。
■遺贈に必要な遺言書
遺贈をするには、遺言書が必要だ。実は遺言書には、大きく分けて3つの方式がある。
1つ目は、遺言者が自筆で作成する自筆証書遺言。個人で簡単に作成できるが、作成日の記載や署名、押印があることなどの条件があり、不備があった場合は無効になってしまう。
2つ目は、遺言者が公証人と共に作成・確認し、遺言者と公証人の2名が署名捺印をして完成となる公正証書遺言。法律の専門家である公証人と遺言を作成するため、不備等で無効になることがほとんどない。
3つ目は、内容を秘密にしたまま遺言書を保管できる秘密証書遺言だ。公証人と証人を立て、遺言書の存在を証明してもらうが、遺言者以外は内容を見ることができないので、遺言内容を秘密にすることができる。
遺贈で重要となるのは、有効な遺言書を残すことだ。不備等により遺言が無効になると、遺贈の意思が叶わなくなってしまう。費用はかかるが、確実性の高い公正証書遺言を残しておくと安心だ。
■遺贈がハードルが高い理由
遺贈を認知している人は増加傾向にあると言われているが、実際に遺贈を本格的に検討する人は少ない。寄付文化が浸透していない日本では、どこに相談すれば良いのかわからない、手間や手続きが煩雑であることから、まだまだ遺贈のハードルは高い。
また、遺贈した遺産の使い道は慈善団体によって異なるため、遺贈した遺産の全額を社会貢献に活用する団体もあれば、経費や手数料等を差し引く団体もある。遺産がどのような社会課題の解決に、どのように活用されるのか、自身で調べながら信頼できる遺贈先を探す必要がある。
■遺贈という選択肢の優先順位を上げるために
2016年には公益財団法人として「日本財団遺贈寄付サポートセンター」が開設され、遺贈や遺言書の作成についても幅広く相談できるようになった。こういった公益財団法人を頼ってみるのも一つの選択肢だろう。
少し手間はかかってしまうが、社会を良くするために自身の遺産を役立てたい方は、遺贈を考えてみてはいかがだろうか。
最期の社会貢献となる「遺贈寄付」という選択肢のハードルの高さ
2023.02.03 19:00
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