早春の光が差し込む朝、森の奥のクマザサの葉の上で生まれた一滴の水の粒が繰り広げる、小さな大冒険。
『ひとしずく』(幻冬舎刊)は岩手県出身の今明さみどりさんによって書かれた児童文学で、前述の通り主人公は「一滴の水の粒」だ。「透明でどんな色も反映する」という純真な「ひとしずく」に、読者は自分自身を投影するはずだ。
今回は作者の今明さんにインタビューを行い、この物語の成り立ちや主人公に込めた想いなどをうかがった。
(新刊JP編集部)
■純真な主人公「ひとしずく」が持つ無限の可能性――今回出版された『ひとしずく』は一滴の水の粒を主人公とした児童文学です。もともとのアイデアはどのようにして生まれたのでしょうか?
今明:森の中を歩いていたときに「こういう物語があったら面白そう」と思いついた構想が原点です。ただ、そのアイデアをもとに物語を書き始めてみたのですが、なかなか筆が進みませんでした。それならば、と一番はじまりの部分、ひとしずくの誕生から書き始めてみようと思って形になったのが、この『ひとしずく』です。
――「水の粒が主人公」という発想は森の中を歩いている時に生まれたんですね。
今明:そうです。朽ちた切り株に水の滴が落ちているのを見て、これで一つ物語が書けそうだと思いました。
――今明さんはこれまでどのような創作活動を行ってきたのですか?
今明:もともとは演劇の方で活動をしていました。演出もやっていたので、その流れで小中・高等学校にてコミュニケーションのワークショップ講師を数年間務めたり、岩手に住んでいるので、県内のローカルプロジェクトのディレクターなどもやっていました。
2020年に『ひとひと』という絵本を出させていただいたのですが、これは子どもたちと演劇を作るときの教材、その手がかりとして書いたものです。
――『ひとしずく』についてうかがっていきます。