音楽活動だけでなく、俳優業でも存在感が際立つ宇崎竜童(77)。現在もNHK朝ドラ『らんまん』で“ジョン万次郎”を風格たっぷりに演じ、注目を浴びている。
今回は、ムチャが当たり前だった時代の映画&ドラマの撮影秘話。そして大スターや名優たちとの友情エピソードを語ってくれた。
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映画『曽根崎心中』(1978年/増村保造監督)の後、『その後の仁義なき戦い』(79年/工藤栄一監督)や『駅 STATION』(81年/降旗康男監督)と、話題の映画に出た頃、桃井かおりさんに、バッタリ会ったんですよ。そのとき、こう言われました。
「あんた、最近、いい仕事しているわよねぇ。力のある人とばっかり仕事してるじゃないの」
確かに桃井さんの言う通りです。僕自身、俳優としては素人同然だったにもかかわらず、監督や作品には、とても恵まれました。
もちろん、当時も音楽活動が中心。ダウン・タウン・ブギウギ・バンドのツアーやレコーディング、さらに他の歌手に曲を提供する作曲家としての仕事もありました。でも、僕の方針として1年に2か月は、お休みにしようと。一応、僕が社長でしたから(笑)。だいたい12月の後半から2月前半を冬休みと決めたんです。
ところが結局、その2か月の間も仕事が入りました。それが俳優の仕事だったわけです。オファーをいただいた映画やドラマは、ツアーの途中でやれるような簡単な作品ではなかったですからね。
ーー初の主演映画となった『曽根崎心中』は原作が近松門左衛門。相愛の男女の心中物語だ。