まだ25歳だった頃の私は、夏場に温泉に行きたいなんて思ったこともなかった。夏といえば、海に川にプール。とにかく涼しい場所に行きたかったものだ。
しかし30歳になった今。春夏秋冬、温泉に行きたい。汗をたっぷりかいた後のシャワーが気持ちいいように、大人の火照った体には温泉が一番気持ちいい。癒やされる。さらに湯上りにビールなんて飲めたら最高だ。
そんな「夏の温泉」という贅沢が分かる大人になった私は、一足早めの夏休みを取って、ある場所でリトリートすることにした。
■大人になったからこそ分かる「夏の露天風呂の醍醐味」
リトリート先に選んだのは「界 雲仙」。星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」の一つだ。館内は、長崎ならではの和(日本)、華(中国)、蘭(オランダ)の要素を取り入れ、異国情緒あふれる空間になっている。
せっかく日常から離れて心をデトックスするならば、物理的に遠い方が良い。だから雲仙を選んだ。
雲仙といえば、有名なのが「雲仙地獄」。宿の目の前に現れる地獄は、ごうごうと音を立てながら、辺り一面に白い煙を噴き上げて、地球のエネルギーを「これでもか」と感じさせてくれる。
そんな約30もの地獄が広がる一帯の中の「婆石地獄」から引かれた「界 雲仙」の温泉は、独特な濁りのある強い酸性の泉質が特徴。鉄分の硫化水素を多く含むため、長湯するよりは、源泉かけ流しの「あつ湯」でさっと温まり、「ぬる湯」でゆっくり過ごすのがおすすめの入り方。疲労回復や冷え性改善、健康増進などの効能が見込まれる。
なるほど。たしかにあつ湯に長く浸からなくても、さっと入るだけで体がぽかぽかと温まる。内風呂で温まったら、地獄の湯けむりを展望できる露天風呂で一息。
冬特有の外気の冷たさと温泉の温かさの寒暖差こそが、“露天風呂の醍醐味”だと思っている人も多いのではないだろうか。たしかにそれも一理ある。しかし、夏場の露天風呂は、凍えずに温泉まで行けて、寒暖差が少ないからこそ、体への負担も少ない。これは大人になったからこそ分かる“夏の露天風呂の醍醐味”だ。