嫌なことがあって腹を立てたり、思い通りいかない現実に焦ってしまったり、他人の態度に「何か悪いことを言ったかな」と不安になってしまったり、私たちの心はちょっとしたことで揺れてしまう。こうした「心の反応」によって気分の落ち込みやマイナスの感情が生まれていると考えると、この反応を制御することができれば、悩みごとや精神的な苦しみは少し楽になるのかもしれない。
『反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」』(草薙龍瞬著、KADOKAWA刊)はこんな観点から、心の反応を抑えることを学ぶことができる一冊だ。
本書の土台となっているのは仏教の考え方であり、ブッダの教えである。
もちろん、ブッダが生きた時代から、人は悩む生き物だった。老いへの恐怖や病の苦しみ、嫉妬、焦り。こうした悩みは何千年も前から人々をさいなんできた。
こうした悩みが「心の反応」から引き起こされるものだとすると、その原因に立ち返れ、とするのがブッダの教えだ。
たとえば、職場の同僚のちょっとした言動にイライラしてしまい、忘れられない時。周囲に相談すると、だいたいこんな言葉をかけられる。
「気にしすぎだよ」
「ほかに楽しいことを考えようよ」
これはこれで納得できるアドバイスだが、当事者としてはこうした言葉ではすっきりしないはず。日常に戻るとまた「なぜかわからないが、同僚といるとイライラする」という状態に戻ってしまう。
このイライラの原因がどこにあるのかと考えると、まずは「同僚のちょっとした言動」ということになる。しかし、もっとさかのぼると、自分の心の問題に行き当たる。
苦しみが何ゆえに起こるのかを、理解するがよい。
苦しみをもたらしているものは、快(喜び)を求めてやまない“求める心”なのだ。