戦後のロッシェル塩の活用
【前編】では、日本海軍が兵器製造のためにロッシェル塩を必要としたことから、特別に物資の統制が緩和され、ブドウ作りが奨励されていった流れを解説しました。
しかし、昭和20年(1945年)に終戦を迎えると、酒石酸類は、少なくとも軍需物資としての需要がなくなりました。
そこで同年10月に大蔵省は酒石酸の増産策を放棄します。戦時中のワイン造りは兵器の製造に直接関わる重要な役割を果たしていましたが、戦後はその役割を失ったわけです。
しかし、ロッシェル塩はその後も科学や工業の分野で利用され続けました。
例えば、有機合成の中間体や触媒として医薬品や染料などの製造で役立てられていますし、工業分野でも引き続き利用されていきます。