よく時代劇にも登場する通称「下女」。武家のみならず商家などでも、おつかい、掃除、料理、様々な雑用をする女性たちですが、当たり前のように存在が描かれているものの、彼らはいつどのように使える場所を決めているの?…と思ったことはありませんか?
絵本時世粧 歌川豊国(甘泉堂/和泉屋/市兵衞、享和2)(1802)
様々あった江戸の女性の仕事ですが、最も多くの女性が就いたのが奉公先で下働きをする「下女」と呼ばれる仕事でした。江戸の町には武家屋敷や大店が集まっていたため、下働きの需要はかなりありました。
その仕事の内容が炊事・掃除・主人の使いなど専門知識は必要とされなかったことから、多くの女性たちが就くことが出来ました。
下女として働くためには、まず「口入屋」という斡旋業者のもとに行き、奉公先を紹介してもらいます。女性たちは口入屋から紹介された家に行き労働条件を確認して、一日その家での仕事を体験します。
その際に彼女たちが必ずしたのが食事を試食すること。主人が彼女たちの料理を食べるわけではなく、派遣される女性が派遣先の料理を食べるなんて意外ですね!
それもそのはず、下女は基本的な雇用形態が「賄い付きの住み込み」だったため、その家の食事は非常に重要でした。