庶民の女性は暗黒時代
前編では、ジェンダー史学の視点によって、「大奥」をはじめとする歴史上の女性たちの隠れた活躍が掘り起こされていることを解説しました。
後編では、こうした女性たちが明治時代以降に歴史の表舞台から消えていった経緯や、ジェンダー史学を学ぶ上で避けて通れない性売買について触れていきます。
江戸時代の政治の世界では「大奥」が意外なほど活躍していたことを前編で説明しましたが、一方で庶民の世界では、女性たちの地位は著しく低下していました。
なぜなら、近世は儒教道徳が庶民に広く浸透した時代で、「女性は生家では父に従い、嫁いでは夫に従い、夫の死後は子に従う」という三従の教えなどがありました。
また、江戸中期に普及した女子教訓書『女大学』(作者不明)は夫への絶対服従を説く書でもあります。
江戸幕府は寺請を戸籍として利用し、その単位を「家」とします。代表者は家父長の男性で、女性は家父長に従属し、掃除、内職など家庭内の仕事をする存在と位置づけられました。