辻出さんの失踪事件は解決の目処がたたないだけに、ネット上で憶測を呼んだ。その中には、県内にある「売春島」で監禁されているのではないか、という説もある。
「この人、東南アジアで女性や子供の虐待現場を取材しているうちに、日本への女性の不法入国(密輸)ルートに行きあたった。その密輸ルートの先が、この人の地元の●●●島。かつて内乱状態の某国への潜入取材をした経験を持つ彼女、島へ潜入しようとしたらしい。正攻法では島へ行けないので、ダイビングで行こうとしたという。それと並行して観光取材のふりして島の周辺の聞き込みをやっていた。ところがそれがバレて『情報がある』とスーパーの駐車場に呼び出され、島へ拉致されてしまった。念願の島への潜入に成功したものの二度と出ることはできず、今では島で娼婦として働かされてるらしい。
唯一、この事情を知る、彼女にダイビングをコーチしていたインストラクターは、今でも固く口を閉ざしている。もちろん警察は島へ介入できない。あくまでも噂だけどね」(01/12/17 19:23)
志摩半島の先端に位置するその島を訪れてみた。島の人口は271人(2011年9月30日現在)であり、周囲は約7キロ、面積は約0・7平方キロと実に小さい。島の西側海域は波が穏やかな海面となっていて、古来より荒天時の避難場所・風待港として使われていた。春を売る商売がこんな小さな島で続いてきたのは、出航を待つ船乗りたちが暇を持て余したからなのだろう。
島の対岸には数十人しか乗れなさそうな小さな客船が二隻停まっていて、声をかけるとすぐに出港した。島では5分、150円で行ってくれた。船頭は70代半ばといった風貌の老人だった。客は僕だけだったが、随時出るといった感じで、客が多いか少ないかあまり気にしていない風であった。
船が着岸し降りる前に、船頭に辻出さんの写真を見せた。すると、「うーん」と言いながら目をつぶり、しばらくしてこう言った。
「わかりませんわ」
船を下り、岸壁に上陸する。両側は平屋か二階建ての店や民家。観光ホテルのビルもいくつか混じっている。降りた地点からまっすぐ道が通るように、そこだけ通りが途切れていた。まっすぐ道を進むと10秒ほどで十字路に出た。