今国会中に法案提出される「ヘイトスピーチ規制法」の危険性

今国会中に法案提出される「ヘイトスピーチ規制法」の危険性

 特定の人種や民族に対する憎悪表現、いわゆる "ヘイトスピーチ" に関して、超党派の議員連盟が法規制へ向けて動いている。現在はまだ試案の段階で、ひとまず『人種差別撤廃基本法案』という仮称が付けられているようだ。

 この議連には民主・共産・社民といった野党と公明党などの議員が参加しており、今国会中の法案提出を目指している。

 現状の試案には罰則が設けられていないようだが、特定の個人や属性(人種・民族など)に対する差別的言動を違法行為と認知させる事を目的としている。

 さて、この手の話題は過去に何度か取り上げたが、この "ヘイトスピーチ規制" には大きな落とし穴がある。それも差別者が得をするといった話ではなく、弱者がより酷い立場に追い込まれ兼ねないという欠陥だ。

 まず理想型から先に述べておくが、このヘイトスピーチ規制をまともな形、特に弊害のない形に整えるには、必要以上に拡大解釈される可能性を可能な限り潰す必要がある。これが第一だ。

 次に、法案の内容に触れる議員らが素人考えで暴走せぬよう各界の専門家(識者)をバランスよく集め、なおかつ彼らの判断に重みを持たせ、世界に通用する「差別とは○×である!」という定義付けを行う事も必須である。

 では、この2つが上手く行かないと、どういう結末が予測されるだろうか?

・拡大解釈

 これについては高市早苗の言動を取り上げれば事足りる。彼女は "ヘイトスピーチ規制" という考え方に対して「国会周辺でのデモに適用できるようにしよう」と口走ったのだ。

 これは自民党のヘイトスピーチ対策プロジェクトチーム(座長・平沢勝栄)の会合での発言で、憲法にある表現の自由は守るとした上で、「口汚く罵るような行為は誇りある日本人として恥ずかしい。人種差別的な言論は世界的に法規制の流れになっている」と始まったのに、何故か「仕事にならないから国会周辺でのデモ活動も一緒に規制しよう」という超展開をぶちかました。

 現在の日本の与党はこの有り様だという現実を踏まえた上で考えて欲しいのだが、ヘイトスピーチ規制法案が無事に議題に挙がって諸々通過したとしよう。

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