役員報酬のうち、不相当に高額な金額(過大役員報酬)は、経費にならないというルールがあります。役員は会社をある意味自由に運営できますから、たくさんの報酬をもらいながら法人税を節税する、といった事態がありますので、このようなルールが設けられています。このため、税務署から問題視されない役員報酬の適正額がいくらか、ということが実務上問題になります。
■誰もわからない、もちろん税務署も
役員報酬の適正額の計算は、同業他社の役員と比較するなど、所定のルールが法律に設けられています。しかし、これらのルールがあるにせよ、役員報酬は会社によって千差万別ですから、実際に計算するとなると大変難しいです。その他、同業他社の役員と比較する、といっても、そのデータを一般の納税者が入手することは基本的には不可能です。
つまり、ルールはあっても実際に金額を計算することはほぼ無理というのが役員報酬の適正額の真実なのです。このため、私たちは非常に困るのですが、役員報酬の適正額が計算できないのは、税務署も同じです。
■わからないから課税できないという原則?
言うまでもないことですが、過大役員報酬を税務署が問題にするのであれば、適正額を税務署がきちんと説明する必要があります。しかし、適正額は誰にも分りませんので、この説明そのものが非常に困難、という実情があります。
加えて、仮に税務署がこの適正額を計算できるにしても、その基礎となる同業他社等のデータは税務署の内部情報であり、守秘義務の観点からおいそれと納税者に開示できるものではありません。
何より、役員報酬の問題は非常にデリケートですから、あなたの報酬が高すぎる、と言われて反発しない役員はいないでしょう。税務調査は納税者の協力のもとに進めるものですから、過大役員報酬の問題を取り上げてトラブルが発生する、という事態は税務署としても望ましいものではありません。
こういうわけで、税務署としても、過大役員報酬を問題にすることが近年減っているという印象がありました。
■課題役員報酬への指摘が増える?
しかし、去る平成26年11月、「泡盛・残波」の銘柄で知られる沖縄の比嘉酒造が6億円もの過大役員報酬の指摘を受けたというニュースが報道されました。今後は、過大役員報酬の指摘が増える可能性がありますので、注意したいところです。
経費になる役員報酬も高すぎると経費にならない。しかし税務署もその基準がわからないという謎
2015.01.02 20:00
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