先頃、英Leicester(レスター)大学の遺伝学者チームが“ショウジョウバエ”を使った興味深い研究成果を発表した。
脳や神経の研究者達は脊椎(せきつい)動物に比べて簡単な脳神経を持つショウジョウバエを調べることで、ヒトを含む多くの生物に共通するメカニズムを見だせる可能性が高いという。
■ “ハエ”の遺伝子でヒトのメカニズムを研究
ショウジョウバエは飼育が容易でヒトが持つ遺伝物質と共通する部分が多いことから、遺伝子研究のモデルとして用いられるそうだ。
レスター大学のチームはショウジョウバエから体内時計と関連していると考えられる約80個の遺伝子を特定した。
ショウジョウバエは固体ごとの体内時計の違いにより、蛹(さなぎ)から変態して羽化(うか)するまでの時間が異なるという。
明け方に羽化する個体や夜更けに羽化する個体が存在しており、研究チームは朝型と夜型のショウジョウバエの遺伝子を比較観察した結果、遺伝子システムに差異を発見した。
上の図はショウジョウバエの日中の遺伝子発現(タンパク質が作られる)レベルを示している。“Earlyが朝型 ”、“Late:が夜型”である。
紫は平均以上の遺伝子発現レベルを、緑は平均以下の遺伝子発現レベルを表しており、これまで概日リズム(体内時計)と関連付けられてきたが、このデータにより、時計遺伝子と関係がないことがわかったという。
論文を発表したエラン・タウバー氏は“ピンボールマシン”のような現象と表現。
つまり、一度遺伝子発現のタイミングが朝型にずれると、毎回異なるルートをたどるピンボールのように、全く異なる分子事象の連鎖が起きているというのだ。