麻薬物質を注入しアリを洗脳し自らの奴隷にするムラサキシジミの幼虫(日本研究) (1/2ページ)
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丸々と太ったイモムシは捕食者の大好物だが、これから身を守るために独自の方法を編み出した幼虫がいる。なんと、アリを麻薬漬けにして、ボディガードとして使役するのだ。
日本や台湾、中国西部に生息するムラサキシジミの幼虫は、甘く、ネバネバした液体を分泌し、アリの行動を変えてしまう。これを口にしたアリは、幼虫に危害を加えようとするものに対して積極的に攻撃を加えるようになる。
従来、この行為は、幼虫が甘い蜜を提供する代わりに敵から身を守ってもらうという互恵的関係を結んでいるものだと考えられていた。しかし、最新の研究では、この分泌物がアリの脳の化学的作用を変化させ、奴隷化していることを解き明かした。
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神戸大学の生態学者、北條賢博士らは、分泌物を口にしたアリの脳内ではドーパミンレベルが低下することを発見した。脳のドーパミンシグナルを改変することで、アリは幼虫に夢中になる。この結果、アリは巣に関心を示さなくなり、周囲をあまり探索しなくなる。しかし、幼虫が触覚を引っ込めるなど、危険信号を発したときは、非常に攻撃的になる。幼虫は守ってもらう代わりに報酬を与えているのではなく、一方的にアリを操っているのだった。
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北條博士らは、幼虫の行動は本質的に寄生虫のそれだと論じている。アリの巣の中に生息する寄生種については、アリの化学的性質を模倣することで、巣に受け入れてもらっていることが知られている。