連載小説を同時に5本……人気作家の生活――馳星周インタビュー(2) (1/2ページ)
出版界の最重要人物にフォーカスする『ベストセラーズインタビュー』!
記念すべき第70回は、最新刊『アンタッチャブル』(毎日新聞出版/刊)が第153回直木賞の候補に挙げられた馳星周さんの登場です。
『アンタッチャブル』は、緊迫感溢れる馳作品の中で異彩を放つコメディ。ユーモアのなかに潜んだ独自の皮肉や風刺が光り、『不夜城』、『漂流街』に次ぐ新しい代表作の雰囲気があります。
この作品がどのようにできあがっていったのか。そして作家・馳星周はなぜこの作品で新しい「顔」を見せたのか。たっぷりと語っていただきました。
■連載小説を同時に5本……人気作家の生活
――この作品は警察のなかでも「公安警察」が舞台になっていますが、これには何か理由があったのでしょうか?
馳:公安警察といえば諜報活動が欠かせません。でも、諜報戦っていうのはやっている当人は大まじめであっても、傍から見るとまぬけだったりするんですよ。
最初にコメディを書こうとなった時に、そのまぬけさや滑稽さは使えるなと思ったんです。
――確かに、スパイの疑いがある登場人物の「点検作業(尾行がついていないかどうかをさりげなく確認する作業)」に振り回される捜査員はかなり滑稽でしたし、椿とその部下を見張るために公安警察同士でスパイ合戦になっていくのはコミカルでした。
馳:右手のやっていることを左手は知らない、みたいなことですよね。日本の警察は部署同士で手柄の取り合いですから、こういうことはよくあるんです。
――尾行の描写は特にリアルでしたが、この「点検作業」というのは本当にあるものなのでしょうか?
馳:直接公安の警察官に取材したわけではないのですが、活字資料を読む限り公安警察官を育成する学校が昔あって、そこでは点検作業を見破る教育だとか、犯罪者やスパイの疑いがある人物の面識率を高める教育がカリキュラムに入っていたようです。
――そしてラストは衝撃的でした。この終わり方は執筆時から計画されていたのでしょうか。