デキるオトナは知っておきたい「Uber騒動」の拡大、そして政治との複雑な関係 (2/3ページ)
それと同じようなことは、ブラジルと大西洋を隔てた南アフリカでも起こっている。『Uber』の車を待っていた利用客が、現地のドライバーに脅迫され彼らのタクシーに無理やり乗せられたという事件だ。「『Uber』はけしからん」という感情が、いつの間にか「『Uber』の利用客はけしからん」に変化している。もちろん、一般市民にとっては、これらのタクシードライバーによる実力行使は甚だ迷惑でしかない。消費者には“選ぶ権利”というものがある。それを業者が侵害することは、あってはならない。
ところでブラジルと南アフリカ、この2国には共通項がある。それは、国内の治安維持に大きな不安を抱えているということだ。
■ ギャングとタクシー
あまり治安の良くない国、まるで昔のニューヨークのような地域ではタクシーは便利な“避難先”である。特に女性は、絶対にひとりで出歩かない。いくらかのポケットマネーを消費してでもタクシーを呼ぶ。
地元のギャング組織もそれを分かっているから、タクシー会社にこういう話を持ちかける。「いくばくかの上納金を払ってくれれば、おたくの会社のタクシーを見張ってやる。路上の安全は俺たちに任せろ」。すべての新興国のタクシー業界がそうとは言わないが、それでもこの業界がギャングにつけ込まれやすいことに違いはない。
そしてこの部分だけは断言できるが、新興国の政治は先進国のそれと比べるとクリーンではない。もっとも、先進国の政治家も100%潔白であるとは言い切れないが、近年経済成長を遂げたばかりの国の政界は、まさに“人食いジャングル”である。企業、組合、政治家が結託して既得権益を死守するのは当然のように行われる。陸運組合の“政治的影響力”というのは、すなわちこういう意味だ。
だが、それは絶対悪とはいえない。そういう癒着があったからこそ、社会の最下層に属する市民への、安定した雇用を提供することができた。純粋潔白な政治家がいないのと同じように、誰もが憎む完全極悪の組織というのも存在しない。