恐怖体験は引き継がれる。ホロコーストの生存者の子孫の遺伝子にトラウマが伝達されていることが判明(米研究) (2/4ページ)

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 こうしたタグが個人の子供に現れているのならば、喫煙、ダイエット、あるいはストレスなどの要因が将来の世代に影響しうるということだ。ただし、ほとんどの科学者が遺伝的特性はDNAに含まれた遺伝子を通してのみ獲得されると考えているため、この説は論争の最中だ。

 本研究では、生存者と子供の同じ遺伝子上に他の対照群には見られなかった化学的タグが発見されている。

 研究チームは臨床試験によって、子供たちがこのタグを別の場所で獲得したわけではないと結論しているが、これが親から子へ伝達された仕組みについては不明だ。


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photo by Pixabay

・るストレス関連遺伝子への影響
 イェフダ博士のチームが観察したのは、ホロコースト生存者のストレスホルモン、コルチゾールである。仮にトラウマの遺伝効果があるのであれば、人が環境に対応する方法を左右するストレス関連遺伝子に現れると考えられたからだ。

 すると特に母親が心的外傷後ストレス障害を発症している場合、子供のコルチゾールレベルが低いことが判明した。しかし、両親とは異なり、コルチゾール破壊酵素のレベルは通常よりも高かった。

 研究チームはこうした適応は子宮の中で起きたと考えている。通常、胎盤内には高濃度のコルチゾール破壊酵素が見られる。

 母親から送られるコルチゾールから胎児を守るためである。妊娠した生存者の胎盤内の酵素濃度が低い場合、胎児は大量のコルチゾールに曝されることになる。このため、自分を守るために破壊酵素のレベルが上昇するというわけだ。
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