「おしん」が海外でウケた理由…努力と商倫理の申し子 (3/3ページ)

FUTURUS

世界の人々は、しんを羨み尊敬した。


■ 日本型資本主義を示す

しんは自由競争が前提の資本主義の只中で生き抜いた。だがそれは、アメリカのような配当利益とパテント売買を中心とする市場原理主義に基づいたものではない。

ドラマの中で、こんなエピソードがある。しんの老年期、今や一大企業に成長した彼女のスーパーマーケットは、名古屋の住宅地区にチェーン店を展開することになった。だがそれはおしんの息子が話を進めたことで、しん自身はそれに猛反対した。なぜなら、出店先には既存の商店街があり、そこにしんの恩人の店もあったからだ。

このドラマが放映されていた頃、経済先進国では“スーパーマーケットの拡大戦略”が問題視されていた。特にアメリカでは、ウォルマートの地方進出が各地で反感を買っていた。巨大な規模と物量で攻勢に出るウォルマートに対し、既存の地元商店街は何もできずに潰れていく。

ところが商店街がなくなったあとに「ここでは利益が取れない」という理由で、ウォルマートはあっさりと撤退してしまう。残るのはシャッター街と買い物難民だけだ。

俗に“焼畑商業”と呼ばれるこのやり方を、しんは作中で露骨に非難した。そこには商倫理がはっきりと存在していた。“ひたすら利益を追求する”という息子の考えと対立したしんは、アメリカ式の大量消費資本主義のアンチテーゼとして視聴者の目に写った。

社会の底辺から努力一つで出世し、莫大な財産を築き上げた少女。だがどんな時も商倫理を忘れず、自由競争の中にも一定の秩序を示したその姿こそ、各国市民を感動させたのだった。

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※ Earthscape / PIXTA

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