すぐ答えを欲しがる、自分は有能だと思い込む… 精神科医が指摘する現代の若者の気質 (2/2ページ)
■すぐに答えを欲しがる
「考える」という行為を積み重ねることは、成長において非常に重要な過程だろう。
ところが本書によれば、大学の相談センターなどに寄せられる学生の相談内容が変わってきているという。それは、悩みの本質を相談し続けるのではなく、具体的ですぐに役立ちそうな答えを求める学生が増えているというのだ。
これは、実は社会人の相談室でも同じ状況が生まれているという。確かに具体的な答えをもらってそれを実践すれば事は早い。しかし、自分なりに考えてこそ、その後の行動にも責任が持てるのではないのか、とも思うのだが…。
■フラットな世界の中で生きている
著者は人間関係の構造の変化についても述べている。上下関係から横の関係、つまり友達感覚で付き合う関係が増えているのだ。親や先生、先輩だけの関係だけではない。お稽古事でもその傾向はあるという。
フラットな関係化を最も特徴づける現象は、特にインターネット上にあらわれている。匿名性が高いネット上では、年齢関係なくどんな相手にもフランクに話しかけることができる。こうして、心の中の対人世界の中から縦構造が消えてフラットな世界の中で生きている若者たちがいるのである。
これらの特徴は、もちろん全ての若者に当てはまるものではないだろう。しかし、こうした傾向があるということに共感を覚え、日本の将来に対して憂いを感じる人も少なくないはずだ。著者自身も『子どものまま中年化する若者たち』という本について「新しい世代に対して悲観的な内容だったかもしれない」と書いている。その一方で、著者自身は若者たちを肯定的に捉える姿勢も持ち合わせ、「現在の状況が良い形で機能していると思う」と述べている。
社会は絶えず変化を続けていて、新しいテクノロジーも次々と生み出されている。その中で若者の気質も変化してきた。今、中年の人たちも若者の頃には「近頃の若者は…」と言われたはずであり、若者という存在が常に大人たちからの「批判」の対象となるのは、避けられないことなのかもしれない。
そして、新しい文化が新しい時代をつくると考えれば、理解しがたい若者たちの行動の中に、新たな文化の芽を見出すことができるのではないだろうか。本書の中に出てくるさまざまな若者たちの考えをどのように受け止めるか、それが大事なのだろう。
(新刊JP編集部)