吉田豪インタビュー企画:長州力「橋本は蝶野や武藤以上に一歩も二歩も先にいってた」(2) (2/3ページ)

デイリーニュースオンライン

アントニオ猪木に教わったものとは?

──本を読んでると、本名の吉田光雄という人とプロレスラー・長州力は違うんだなっていうのはすごい思いました。

長州 最近はどっちがどっちかわかんないけど。

──猪木さんが「24時間アントニオ猪木を演じる」って言われていたのに近いと思ったんですよ。長州さんも長州さんを演じてきて。

長州 うん……だからさっきと一緒で、猪木さんは24時間アントニオ猪木でいなきゃいけないっていうけど、周りの人間はあの人をどういうふうに見るかということで。僕は僕で、僕なりの感覚で捉えて見てた部分では、あれはちょっと深いなっていう自分なりの感覚を持っただけで。

──結局、タイプは近いんですかね?

長州 だから同じ色でやってて、なぜこんなにも違っていくのかなっていうのはどっかにあって。勝ち負けは別として、どっかに何かがないといけない。そのへんから僕は僕なりに何が違うのかなっていう部分は、僕は僕なりに見るようになったですね、いろんな部分を。そうすると、これはこういうことなのかなって。

──自分なりに理解して。

長州 この業界はあまり手取り足取り教えるっていうアレでもないし。だから猪木さんから教わったっていうことは、なくもないです。少ないんですけど、その少ないことがものすごくあとになって、「あ、あの人はじつはこういうことを言ってたのかな」って自分の悟り方っていうものが……それが合ってるかどうかわかんないですけどね。だからプロレスを深く考えるとおもしろい世界っていうか、ある部分では厳しいし、ある部分ではあまり教えたくないっていうか、べつに周りの人間は知りたくもないだろうけど……。

──ものすごい知りたいですよ!

長州 いやいやいや、これまたそんなにカッコつけて言ったって、自分の独りよがりでそういう捉え方をしたのかもわかんないし。

──それぐらいプロレスのことを考えてそうな人って、そんなにいないものなんですかね?

長州 それすらもわかんないですね。藤波(辰爾)さんなんかどうなのかなと思いますよ。でも、少なくとも猪木さんがまだ現役で頑張ってる頃に周りにいた昭和の選手は、どっかにあの人の怖さなり、威圧感なり、変な意味じゃないプレッシャーなりをみんなとらえてましたからね。そういうものがいま新日本でもどこの団体でもあるかっていったら、たぶんもうないと思いますよ。それはいまの時代は全然いいんじゃなかなと思いますけどね。

──怖さや威圧感って意味でいうと、ボクは長州さんとか天龍(源一郎)さんには絶対近寄っちゃいけないってずっと思ってましたからね。

長州 そんなことないですよ! ホントにそんなことはない。

──誤解なんですね(笑)。プロレスについて深く考えてるからこそ、長州さんのインタビューにはすごくいいフレーズがよく出てくると思うんですよ。

長州 そんなこともないですよ、みんな言いますけど。名言集とか言うけど、そんな名言なんてなんにもない(あっさりと)。

──怒ったときの長州さんの言葉のキレとかすごいですよ! UWFインターナショナルの対抗戦の前にUインターをボロクソに言ってたのがホントに好きで。「お前が死んだら墓に糞ぶっかけてやる!」とまでは、なかなか言えないですよ(笑)。

長州 ハハハハハ! ホントに安生(洋二)選手には申し訳ないこと言った(笑)。

──長州さんが謝った(笑)。当然、ああいうのは本音なわけですよね。

長州 本音ですよ当然! あんなの前の日とかに考えないよ(笑)。全部本音です。だからたしかにスイッチのオンとオフを自分でうまくパッパッとできてたんだけど、いまはそんなにリングに上がることもないから、そういう感覚がどんどんなくなっていって。いまはどっちがオンなのかオフなのかわかんない状態で、あんまりプロレスの話になっちゃうと……。

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