【調査結果】電気抵抗をゼロに近づける「超伝導」の決めては赤ワインだった!?

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電気抵抗をゼロに近づける「超伝導」。MRIなど医療機器にも使われ身近な存在となりましたが、「お酒」を使うとさらにパワーアップするのはご存じでしょうか。

超伝導体を作る研究は多くの機関でおこなわれ、別の物質と混ぜたり浸したりするなど、さまざまな方法が試されているなか、好調なのが「お酒」。一晩煮ると超伝導体に変わる率がアップし、とくに赤ワインを使うと7倍も増えることがわかった。これからの超伝導は「赤ワイン煮」が主流になりそうなのです。

■マイナスなのに「高温超伝導」

パソコンやスマホのように電子機器と呼ばれるものには半導体(はんどうたい)が使われています。半導体の「半」は、条件によって電気が流れる、流れないが決まるため。照明でおなじみのLEDも立派な半導体で、プラス/マイナスの向きを入れ替えると点灯しません。対して豆電球のように条件をともなわないものは導体(どうたい)と呼ばれ、家電のコンセントや携帯の充電ケーブルもこのグループに属します。導線は「電気を流すだけ」と思われがちだがこれはウソで、わずかながらにも「抵抗」があるため電気を消費し発熱しているのです。100Vのケーブルなら数m延長しても気づくほどではないですが、送電線のように長距離となるとバカにならないロスが生まれます。そんな悩みを解決してくれるのが「超伝導」です。

超伝導の基本は「冷やす」で、絶対零度である-273℃に近づけると抵抗が「ほぼゼロ」の超伝導状態になり、大きな電流を流しやすい環境になる。医療用のMRIに使われているのも、強力な磁力を作るために大電流が必要だからだ。

難点は「冷却」で、発見された当初は液体ヘリウムを使って-269℃、最近は-196℃でも可能になったため液体窒素が一般的だが、リニアモーターカーや電気自動車に積むには適しているとは言い難い。そこで現在ホットなのは「高温超伝導」で、-100~-120℃でも可能な物質が研究されている。高温は「従来と比べて」の意味で、熱い! と感じる温度ではないので誤解なきよう。

■「超伝導体の赤ワイン煮」、始めました

超伝導体はどのように作られるのでしょうか。高温超伝導を実現するためにはさまざまな金属を用いた合金が必要で、金属以外の物質の力を借りて変化させる研究もおこなわれています。なかでもおもしろいのが「お酒」で、一晩煮込むと超伝導体が増えることがわかりました。

超伝導体にもムラがあり、本当に抵抗がゼロになるのはごく一部しかありません。これを超伝導体積率と呼び、抵抗がゼロを示しても「じつは数%しか超伝導じゃない」場合も多々あり、改善に向けてさまざまな研究が続けられています。ところが、70℃のお酒でまる一日「煮る」だけの簡単クッキング(?)で、本当に超伝導な部分が7倍近くになるのです。

お酒の種類と、おおまかな超伝導体積率をあげると、

 ・焼酎 … 2.5倍

 ・ビール、日本酒、ウイスキー … 4倍

 ・白ワイン … 5倍

 ・赤ワイン … 7倍

なんと、「赤ワイン煮」がおいしいのは牛スネ肉だけではなかったのです……!

お酒で煮ると、なぜ超伝導が起きやすくなるのでしょうか。誰もが「アルコール!」と思うでしょうが、意外なことにリンゴ酸やクエン酸などの「有機酸」のおかげで、これらが余分な鉄を取り除くことによって性能がアップします。疲労回復に良いと言われている物質が、超伝導体の「生みの親」にもなっているのです。

超伝導技術が普及すれば、送電ロスが減って電気代が安くなるかは定かでないが、電気自動車が普及するのは間違いないでしょう。繰り返しとなりますが「高温」といっても人間には超低温なので、研究したいひとはご用心を。

■まとめ

・低温になると、電気抵抗がゼロに近づく現象が「超伝導」

・最近は、-200℃以上の「高温超伝導」の研究がさかん

・お酒で一日煮ると、超伝導体積率がアップする

・最強の「赤ワイン煮」では、7倍も増えることが判明

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