【人類と蚊・中編】NO MOREデング熱!途上国の命を救う鍵を握る「雑貨屋」 (2/2ページ)
そういう家にも蚊取り器具を買ってもらおう……、というのは至難の業なのだ。
鍵を握るのは、どの集落にも必ずある2、3軒は必ずある、雑貨屋としての機能を持つ個人商店である。インドネシアではこれを『ワルン』と呼ぶ。『ワルン』は、卸売を担当する『グロシール』と常につながっている。
ヒットしている商品があると知れば、『グロシール』に「この商品をウチでも扱いたいんだが、在庫はあるか?」と相談に来る。
だからメーカーの営業社員は、必ずワルンに足を運ぶのだ。
■ 信頼厚いワルンの店主

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『ワルン』は雑貨屋としての機能に加え、喫茶店としての役割を担っていることもある。近所の人々は、午後のティータイムを『ワルン』で過ごす。口コミや情報交換はそこで行われるのだ。
インドネシア国民は、統計よりも噂を信じる。そして『ワルン』の店主の信頼は絶大だ。この国のネットワークは、『ワルン』なしでは語れないのだ。
「この会社の蚊取り線香は効果絶大だ!」
店主がそう言いさえすれば、客の手はその商品に伸びる。だが「そう言いさえすれば」に達するまでが大変だ。そもそも店主は大企業の提灯持ちのために嘘などつかないし、そんな彼らを納得させるにはまず試供品を配り歩く段階から始めなければならない。
筆者は以前、インドネシアの紙おむつ市場についての記事を手がけたが、要はそれと同じである。
スーパーマーケットなどの大型店舗でのセールスは、後回しでも構わない。消費の主役は庶民であり、その庶民が一番利用する店は『ワルン』なのだ。
そして『ワルン』への営業が結果として、新興国の医療に貢献しているのである。
決して最先端のテクノロジーだけが“除虫”に役立っているのではない。流通ネットワークを抑えることも“除虫”の普及にとって重要な施策なのだ。
【参考・画像】
※ 「ポスト・ジャカルタ」を目指せ これだけ違う地方間の人件費 – Walkers インドネシア
※ 特集(上) 日系大手2社 伝統市場で草の根営業 ワルン攻略 流通の鍵 – ジャカルタ新聞
※ szefei / Shutterstock
※ Graphs / PIXTA