善玉、悪玉っていうけど……コレステロールに「善悪」はないってほんと?

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健康ネタに必ず登場するのが「コレステロール」。悪玉コレステロールが多いから食事制限しなきゃ! なんて話をよく耳にしますが、コレステロールには「善」も「悪」も存在しないのはご存じでしょうか?

コレステロールは炭素・水素・酸素から成り立つ化合物で、材料の比率が違うだけで、果物に含まれる果糖(かとう)やブドウ糖と兄弟関係にあり、善玉も悪玉もなく1種類しか存在しないのです。生きていくためには欠かせない物質なのに「悪玉コレステロール」と汚名を着せられているかわいそうな物質なのです。

■コレステロールなしでは、生きていかれない!

コレステロール=からだに悪いもの、のイメージが定着していますが、正体は「C27H46O」で、46個の炭素、水素が27個、それに酸素が1つ結びついた有機化合物に過ぎない。日常的に口にする有機化合物をあげると、

 ・ショ糖(砂糖の主成分) … C12H22O11

 ・ブドウ糖 … C6H12O6

 ・エタノール(お酒のアルコール) … C2H6O

で、C:H:Oの比率が違うと性質も異なりますが、どれも炭素・水素・酸素から成り立つ物質にほかならないのです。砂糖やお酒が健康に悪いか? と聞かれたら、多くのひとは、摂り過ぎれば害になる、体調や体質によって違う、としか答えられないでしょう。コレステロールも同様で、それ自体に「善玉」「悪玉」のような分類はありません。コレステロールが生活習慣病のもと! のように言われていますが、実際は真逆も良いところで、生命維持に欠かせない大事な物質なのです。

コレステロールはどんな働きをしているのでしょうか? 代表例をあげると、

 ・細胞膜

 ・胆汁酸

 ・性ホルモン

の材料に使われ、不足すると細胞、とくに血管が弱くなったり、免疫が低下する傾向があります。「なるべく減らしたい」「不要なもの」のイメージが定着していますが、体内のコレステロールは、

 ・体内で生産される量 … 約80%

 ・食べ物から摂取される量 … 約20%

であることからも、不要なわけないでしょ! な物質なので、これを理解せずに食事制限をすると命に関わることが起きるのです。

■「善」と「悪」は紙一重

「病気の原因」「善玉・悪玉」と呼ばれるようになった理由はなにか? これはコレステロールを運ぶ「リポたんぱく質」の違いから生まれた誤解が原因です。

リポたんぱく質は大別して2種類あり、呼び名と働きを比較すると、

 ・LDL(低比重リポたんぱく質) … 肝臓から全身へコレステロールを運ぶ

 ・HDL(高比重リポたんぱく質) … からだ中のあまったコレステロールを肝臓へ戻す

と、コレステロールの供給と貯蔵をおこない、バランスを保つ仕組みをなしています。本来は「上り」「下り」とでも表現すべき動きなのですが、コレステロール=悪のイメージが強いせいで、全身に運ぶLDLは「悪玉」、血液中から減らし肝臓に戻すHDLは「善玉」の名が定着してしまいました。

LDLとHDLは、どちらが大事か? 健康診断ではそれぞれが数値化され、低いほうが良いと思われがちだが、

 ・LDLが低すぎる … からだに必要なコレステロールが行き渡らない

 ・HDLが低すぎる … あまった分を回収できていない

の意味となるので、どちらも「低いほど健康」とは言い切れません。重要なのはバランスで、かりにLDLが低くてもHDLが異常に高いような状態であれば健康とは言い難いのです。

残念ながら基準値を超えてしまったひとは、酒やタバコなどのし好品、体質や運動量も関わってくるので、食べ物だけでは改善しない場合もある。医師に普段の生活を伝え、指導してもらうのが良いだろう。

■まとめ

 ・コレステロールは、炭素・水素・酸素で成り立つ有機化合物

 ・比率が違うだけで、ショ糖やブドウ糖の仲間といえる物質

 ・「善玉」「悪玉」の区別はなく、1種類しか存在しない

 ・極悪なイメージに反し、生存に欠かせない物質。約80%は体内で生産されている!

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