牛丼はかっこいい!インドネシアの若者に浸透する「YOSHINOYA」 (2/3ページ)
外食する場合は“ワルン・マカン”という、どこの町にも必ずある個人経営の食堂を利用する。それよりも少し規模の大きい飲食店は、大抵“ルマー・マカン”と呼ばれる。
主にこの二つが、ワーキングクラスとローワーミドルクラスの人々の胃を満足させているのだ。
普通名詞での“レストラン”とは、それらよりも格式の高い飲食店を指す。吉野家はこの位置にあたる。鉄の腕を持った現場作業員の諸兄は、ここにはいない。
■ 日本の味を手頃な値段で
ここで敢えて矛盾しているかのようなことを書くが、インドネシアの吉野家は“手頃な価格の店”である。
だがそれは、“単に値段の安い店”というニュアンスではない。インドネシアでは、“日系飲食チェーン店”という事柄自体にブランド性がある。「メイド・イン・ジャパン」と書かれた家電製品が消費者から信頼を得ているのと同じことだ。
吉野家は、そのブランド性を最低限の価格で提供しているのである。
「どなた様も、ご家族みんなで日本の味を楽しんでください」
平たく言えば吉野家は、現地市民に対してそう言っているのだ。そういうこともあり、日本とは店内構造も違う。
まず、インドネシアの吉野家にはカウンター席というものがない。何しろファミリー客がメインターゲットなのだから、広々としたテーブル席が喫食スペースとなる。日本のファミリーレストランと似たような造りだ。

だが面白いことに、ドンブリのデザインは日本と同じである。インドネシア人にとって、ああいう形の陶器は珍しいものだ。
そもそも陶器を使う習慣はインドネシアにはあまりなく、見かけるのはせいぜい平皿とスープ皿とカップくらいである。
しかも、それらは絵柄のないシンプルなものが殆どだ。だから、吉野家のあのドンブリは、とてもお洒落なものに映るらしい。
また、インドネシアは箸文化圏ではない。