このあとどうなるの!? 続きが気になる“書き出しだけ”の小説「第3回書き出し小説大賞授賞式&表彰式」 (1/2ページ)
「書き出し小説」とは、その名の通り書き出しだけの小説です。
夏目漱石の『吾輩は猫である』ならば「吾輩は猫である。名前はまだない」だけ、川端康成の『雪国』ならば「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」だけ。
その後、どうなるんだとツッコみたいところですが、続きは妄想だけで楽しむのが書き出し小説なのです。
「じわじわ来る」「思い出し笑いが止まらない」「二度読みたくなる」などの意見が多い味のある書き出し小説。この度、第3回書き出し小説大賞の表彰式が、お台場・東京カルチャーカルチャーで行われました。
この書き出し小説はWEBサイト『デイリーポータルZ』で連載されています。表彰式では、これまで『デイリーポータルZ』に掲載された作品の中から優秀な60作品をノミネート。そこから審査員個人賞、大賞などを決定します。

芥川賞作家も参戦! 審査員は豪華メンバー
書き出し小説大賞の審査員は、書き出し小説大賞の創案者である『デイリーポータルZ』ライターの天久聖一さん、『デイリーポータルZ』編集の林雄司さん、芥川賞作家の長嶋有さん、漫画家のしまおまほさんと豪華メンバー。

長嶋さんは第一回書き出し小説大賞で、凡コパ夫名義の“大きくひしゃげた眼鏡を、だが男はいつものように持ち上げた”という作品がノミネートされています。
ムーディーにしっとりと朗読、高尚な文学の装い。
ノミネート作品は、10作品ごとに6ブロックに分けて発表されます。朗読は劇団野鳩の佐伯ちさ子さん。ムーディーな音楽に合わせて、しっとりとした声で読み上げてくれます。佐伯さんの朗読により書き出ししかないミニマムな小説のはずが、なぜだか完成された高尚な文学の装いに。

たった数行なのに引き込まれる! 「名書き出し」が60作品
それではいくつかノミネート作品を紹介しましょう。
“キミの食べるはずだった菜の花が咲いてしまったよ。”(作・Xissa)
こちらの作品は書き出し小説には珍しい二人称。コメディなのか、哀しい話なのかが気になるところです。長嶋さんもお気に入りの様子。
“あんたんとこ、火事やで。全てを知ったうえで、イルカショーにて手を挙げる”(作・義ん母)
この作品には会場も大爆笑。小さな火事ではなさそうな予感が漂う作品です。その他にも傑作ぞろい。笑い声が絶えませんでした。