【世界の功績者から学ぶ・前編】「シャングリラ」を夢想する日本人 (2/4ページ)
それはさておき、人々が「見ず知らずの外国を理想化すること」と「外国の功績者に関心を持つ」ということは、似ているようだがまるで違う。
そもそも発想の出発点からしてまったく別の位置にある。「この世界には必ずや理想郷があるだろう」と考えた結果が前者、「この世界は今までもこれからも不完全だ」と考えるのが後者である。
不完全だからこそ、日々修復する努力を欠かすことができない。そういう発想でいるほうがより現実的だと思うのは、筆者だけだろうか。
例えば、ケニアのワンガリ・マータイ女史は日本人に大きな影響を与えた人物だ。
マータイ女史は初来日の際、日本語の“もったいない”という言葉の意味を知り感銘を受けたという。
そして日本の文化史を調べているうちに、日本という国は西洋の大量消費社会とはまったく異なる“リサイクル社会”を構築していたことを突き止め、それをそのまま自身が主催する環境保護活動に組み入れた。
“もったいない”が“Mottainai”になった瞬間だ。
だが、よく考えればこんなにおかしな話はない。要するにケニア人のマータイ女史に先駆けてそのようなPR運動を行う日本人が、それまで一人もいなかったということだ。
■ 北欧はシャングリラか?
その頃、すなわちマータイ女史が来日した2005年当時の日本では、“北欧ブーム”が発生していた。
この2005年という時期には、我が国の年金制度の不透明さが盛んに叫ばれていた。
政治家の年金未納が次々に発覚し、全体の納付率低下もまるで歯止めがかからない。その改善のために厚生労働省が打ち出したCMすらも、出演俳優自身の年金未納が発覚し笑いの種になってしまった。
それに比べて、北欧三国はどうだろう。年金はおろか医療も教育も完全保証され、国民は幸せに暮らしている。しかも北欧三国は環境先進国だ。日本もこうなるべきである。
スウェーデンやノルウェーやフィンランドのように、市民誰しもが豊かな自然の中で公共サービスを受けながら暮らせる国に生まれ変わるべきだ―。