いつか25時間に!? 1日は毎日「長くなっている」ってほんと?

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誰にでも平等に与えられている「時間」。就職活動やレポートに追われて「1日が24時間以上あったら」なんて話はよく聞きますが、毎日少しずつ「1日」が長くなっているのはご存じでしょうか?

1日の長さは地球の自転によって決まり、地球が誕生したころはおよそ5倍、1日たったの5時間しかありませんでした。現在の24時間にしたのは「月」で、38万km先からの引力がブレーキとなり、地球の自転をだんだんと遅くしてきたのです。この作用は現在も続き、1億8,000万年後には「25時間」になると考えられているのです。

■1日24時間は「月」のおかげ

1日が24時間なのは、ちびっ子でも知っている話です。しかし、地球が誕生したおよそ46億年前は現在の4~5倍速で自転し、つまり1日は5~6時間だったと推定されています。5時間から24時間まで均等に遅くなったと仮定すると毎年0.000014秒、誤差とも呼べるペースで24時間になりました。これは過去の話ではなく、現在も少しずつ遅くなっているのです。

地球の自転はなぜ遅くなっているのでしょうか? コマを回せばやがて止まるのは「摩擦」によって運動エネルギーが減るからですが、地球はなにかに触れているわけでもありませんし、宇宙では空気抵抗もないので、減速させる要素はほとんどありません。46億年もの歳月をかけたとはいえ、自転速度を5分の1にもなったのは「月」が存在するからです。

月の引力は地球の6分の1程度、おまけに38万kmも離れているため、地球に与える影響はごくわずか。月が頭上に来ても「からだが軽くなった」と感じないのは、引力がきわめて小さい証拠です。ところが、ご存じのように「潮の満ち引き」は月の引力によるもので、地球規模では大きな力となり、これがブレーキの働きをして地球の自転を遅くしているのです。

引力がブレーキ?と不思議に思うかもしれませんが、回転している金属に「磁石」を近づけるようなものですから、触れていなくても「抵抗」となって減速させることができます。なかでも大きな要因となっているのは潮の満ち引きで、月の引力によって海水は大移動、ある意味で地球を「変形」させるようなものですから、これが自転を遅らせる原因となり、現在の24時間になったのです。

■月は毎年小さくなっている?

地球の自転はやがて止まってしまうのでしょうか? 現在も減速し続けているならいつかは速度がゼロになってもおかしくありませんが、1億8,000万年後でも「25時間」程度と予測されています。

先の計算では、一定のペースで減速すると仮定しましたが、実際には「減速ペースが減速」すると考えられています。これもやはり「月」が理由で、毎年3.8cmほど地球から遠ざかっているので、影響がどんどん小さくなっているからです。

現在の1日24時間と、過去の1日、減速ペースを比較すると、

 ・46億年前 … 1日5時間 … 毎年0.000014秒

 ・6億年前 … 1日22時間 … 毎年0.000012秒

とゆるやかになっていることが分かります。地球が誕生したてのときは、月は約4万kmの距離、つまり現在の10分の1ほどの距離にあったため、いまよりも強く影響していましたが、遠心力によって月が遠のきブレーキが弱くなっているのです。

日々、1日が長くなっているのは確かですが、ブレーキが弱まっているのも事実なので、理論上止まることはなさそうです。それよりも月は約4cm/年のペースで遠のき、やがて肉眼では見えないサイズになってしまうので、子孫のために一句詠んでおくと良いでしょう。

■まとめ

 ・地球が誕生したころは、1日が約5時間だった

 ・現在も毎年10万分の1秒ほど、一日が「長く」なっている

 ・月の引力による「潮の満ち引き」が、地球に強いブレーキをかけている

 ・月は毎年約4cm遠くなっているので、将来「肉眼」では見えなくなってしまう

(関口 寿/ガリレオワークス)

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