【商倫理と日本・後編】和を以て貴しとなす (3/3ページ)

FUTURUS

なぜ大企業が租税回避を行うかと言えば、早い話が「一人勝ち」を貪欲に狙っているからだ。いや、「独り占め」と言ったほうが適当かもしれない。

企業が利用している公共インフラの整備には、税金が使われているはずなのに、当の企業からの税収入がほとんどない。国家や地元自治体が怒るのは当然である。

「和を以て貴しとなす」という言葉とは、まるで真逆の現象だ。

確かに小さな“和”にこだわり過ぎるあまり、まったく物事が進まないということが日本ではままあるが、“和の存在しない市場”もまた大問題なのだ。

■ 切り札は我々日本人の手に?

筆者はもちろん日本人で、それ故に日本人の優れた点や恵まれた部分などを度々追求する。

だが、それをもって「日本人は世界一優秀な民族なのだ」と結論付ける気はまったくない。そうではなく、「他国の人々より恵まれた点があるからこそ、社会問題解決をリードする役割が課せられるのでは」と言いたい。

「和を以て貴しとなす」という概念に含まれたロマンチズムは、はっきり言って日本人にしか理解できないだろう。

「規律ある民兵は自由な国家の安全保障にとって必要であるから、国民が武器を保持する権利は侵してはならない」と記された、合衆国憲法修正第二条の真髄がアメリカ人にしか分からないのと同じだ。

だがその概念がいい結果を出しさえすれば、周囲の目は必ず集まる。問題解決はいつもそこから始まる。

松下幸之助は、そうした概念が完全破壊されることを恐れた。中内功との対立がそのような動機からであるというのなら、この部分に関しては高評価を与えてもいいのではないか。

ともかく、我々日本人はかなり強いカードをその手に持っている。“和の概念”という名のカードだ。

あらゆる問題が噴出している世界市場で、実はこの手札がジョーカーになる可能性もあるのではないか。筆者はそう考えている。

【参考・画像】

※ “租税回避マネー”を追え ~国家vs.グローバル企業~ – クローズアップ現代

※ Zurijeta / Shutterstock

※ ABC / PIXTA

「【商倫理と日本・後編】和を以て貴しとなす」のページです。デイリーニュースオンラインは、カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る