腫瘍細胞における薬剤耐性メカニズムを解明したという、ガン治療のややこしい発見 (1/2ページ)
(c)Jose-Luis Olivares/MIT (p53 illustration by Richard Wheeler/Wikimedia Commons)
細胞の修復機能が却ってガンの治療薬の効果を妨げているという、ややこしい話がMITから発表された。
我々の体には、細胞がガン化することを防いでくれている遺伝子が存在する。それが『P53』と呼ばれる遺伝子だ。
『P53』遺伝子のPはタンパク質(protein)を示し、53は分子量が53,000であることを示しているという。
この『P53』遺伝子は、凄い働きを持っている。それは、細胞内のDNAに損傷があると修復してくれるのだ。
それだけではない、もっと凄いのは、細胞がガン化すると、その異常を来した細胞が自殺するように仕向けるのだ。この、細胞が自殺する機能を『アポトーシス(apoptosis)』と呼ぶ。
つまり、『P53』は我々の細胞がガン化することを防いでくれる働きを持っているのだ。
■ 細胞のガン化を防ぐシステムのバックアップシステムが仇になる
ところが、現実にはガン化が防げず腫瘍ができてしまう場合がある。このようなときは、『P53』が不足していることが分かっていた。
つまり、『P53』の不足によって、ガン化が防げていないのだ。しかし、我々の体はさらに『P53』不足に対するバックアップシステムを持っていた。
ところがやっかいなことに、このバックアップシステムが、ガンに対する化学療法薬の邪魔をしていたことがわかったのだ。つまり、化学療法薬に対する耐性を引き起こしていた。
『P53』が不足しているところで細胞のDNAが損傷しても、それを修復するバックアップシステムが修復を引き継ぐ仕組みがあり、その仕組みで重要な働きをしているのが『hnRNPA0』と呼ばれているRNA結合タンパク質だという。
ところがこの『hnRNPA0』は、『P53』とは致命的な違いがあった。『P53』は修復できずにガン化してしまった細胞を、自殺へと誘導する機能(『アポトーシス』)をもっていた。