大ヒット中の映画『バクマン。』にオッサン視聴者が共感できないワケ (2/4ページ)

デイリーニュースオンライン

 というわけで、作中でサイコーくんがどんなに無理をしても、「熱血!」とか「青春!」とか以前に、「分かった! いんぐりもんぐりしたいんやな」となってしまう。キャラクターの最初の動機をいんぐりもんぐりにしてしまったせいで、何をやっても「童貞がいんぐりもんぐり目指して生き急ぐ話」に見えてしまう。

 僕は原作連載中からずっと「サイコーは風俗とかで童貞捨てれば、もっと余裕持って生きれるんじゃね」と思ってました。しかしこれが冒頭に挙げた「読者の年齢層で受け取り方が変わる」というやつで、僕のようなおっさんは「無理すんなよ」「とりあえず童貞捨てて落ち着けよ」となるわけですが、たぶんもっと若い人たちには「純愛!」「青春!」「熱血!」という感じに映るのでしょう。たぶん。

 おっさんにも若い人にももちろん例外はあると思います。ですが、社会人経験のあるおっさんたちは概ね「身体壊したら無理せず休もうよ。周りも迷惑だから」と感じるのではないでしょうか。そこで若者が「で、でも! いま俺が頑張らないと……クラスメイトといんぐりもんぐりできないんだ!!」と言ってきたら、「分かった! 気持ちは分かった。けど、童貞はいつか捨てれるから、とりあえず落ち着こうな」と言いたくなるのです。

 おっさんになると「純愛」とか「運命の相手」とかいう観念が薄れてきて、「要は肉欲を満たしたいんだな」と自分の感情を分析できるようになります。なのでサイコーが肉欲に駆られて無理をしている姿を見ても「若いなあ」としか思わないのですが、まだそういうロマンチックな観念を保持している年頃の人たちが見ると、これも良い話に見えるのでしょう。たぶん。

(注:血尿出してブッ倒れ、亜豆から別れ話(?)をされた後のサイコーが何をモチベにして漫画を再び描き始めたのかは解釈の分かれるところです。亜豆からサイコーへの言葉、「ずっと待ってられない、先に行くね」が別れの言葉なのか、ハッパをかけてるのか、立場と心情の板挟みの吐露なのかも難しいところで、別れの言葉と考えるなら、「女に捨てられたので新妻エイジとの戦いに専念した」となりますが、僕は「まだ決定的にフラれた訳ではないと考え、アニメ化に一縷の望みを託した」と理解しました。亜豆の言葉はまだ決定的な別れ話ではなく、事務所の意向に従わざるをえない立場であり本意ではないこと、しかし放っとけば亜豆の心はサイコーから離れて仕事へ流れていきかねないため、いま亜豆の心を繋ぎ止めるには急ぎアニメ化を達成して例の約束へ彼女の心を引き戻さなければならない、そのために「バクチ」を打つ、巻頭カラー掲載を間に合わせる、という解釈です)
「大ヒット中の映画『バクマン。』にオッサン視聴者が共感できないワケ」のページです。デイリーニュースオンラインは、漫画映画連載などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る