寒いのになぜ? 南極では「カゼ」をひかないってほんと?

冬になると流行するのが「カゼ」。寒いからしかたないと思われがちですが、極寒の地・南極ではカゼをひかないってご存じでしょうか?
寒すぎる南極ではほとんどのウイルスや菌が生息できないため、空気は非常に清潔。寒さで調子が悪くなったとしても、南極でカゼをひくことはありません。また標高が平均2,500mと高いため、お湯も100℃未満で沸とうしてしまい、カップラーメンを作っても麺が戻らず半ナマ状態……誰の土地でもない南極はフシギがいっぱいの場所なのです。
■寒すぎるとカゼをひかない?
北極と南極ではどちらが寒いでしょうか? 答えは南極で、それぞれの史上最低気温を比べると、
・北極 … -71℃(オイミヤコン)
・南極 … -89.2℃(ボストーク)
と、およそ20℃も下回ります。日本の最低気温は-41℃ですから、比べものにならないほど寒いことがおわかり頂けるでしょう。南極が寒いのは、大陸であり、標高が高いことが理由です。
海水は陸よりも冷えにくく、海から遠い「内陸」のほうが気温が下がる傾向があります。そのため海に浮かんだ氷で形成される北極よりも、南極のほうが低温になりやすいのです。また南極の標高は平均2,500mと高いのも理由です。一般的に100m高くなるごとに0.5~0.6℃低くなるといわれ、これを当てはめるだけでも15℃も低くなるので、北極を下回るのは当然といえるでしょう。標高およそ30mにある昭和基地でも年平均気温は約-10℃ですから、南極は寒くて当たり前の地なのです。
これだけ寒いと年中カゼをひかないか心配ですが、驚くことに南極でカゼをひくひとはいません。原因となるウイルスや菌が、寒すぎて存在しないからです。もちろん誰かが持ち込んでしまえば話は別ですが、健康なひとが南極で「カゼをひいた」はありえない話…仮病をするなら別の理由を考えないといけません。そのためからだの免疫も「省エネモード」になり、帰国してからヒドいカゼをひくなんて話も聞きます。これはペンギンも同様で、きれいな空気が当たり前のペンギンは、日本に来ると肺にカビが生えてしまう例が多数みられます。いまでは治療薬が開発されましたが、むかしは「水虫用」の薬が使われていたようで、かわいらしいペンギンも陰では苦労しているのです。
■90℃で沸とうする「お湯」
南極ではカップラーメンが食べられません。100℃未満で「お湯」になってしまうので、そのまま注いでも充分に麺が戻らないからです。
高山病で知られるように高い場所では空気が少なくなり、ちょっとした登山でもスナック菓子の袋がパンパンにふくれることがあります。これは空気が「もの」を押さえつける力が減ったためで、お湯も同様に100℃以下で飛び出してしまうため、沸点が下がった状態になります。南極の平均標高2,500mでは91℃で沸とうしてしまうので、熱湯を前提としたカップラーメンには少々もの足りない温度になってしまうのです。
映画では、ゆでるタイプのラーメンがうまく作れない!なんてシーンもありましたが、同じ高さならどこでも起きる現象なので、南極固有の現象ではありません。もっとも、昭和基地は海辺に位置し標高30mほどですから、標高3,500m弱のボストーク基地で試してみるのが良さそうです。
■まとめ
・北極よりも南極のほうが寒いのは、大陸であり標高が高いから
・あまりにも寒いため、南極にはカゼの原因となるウイルスや菌がいない
・日本の空気には菌などが多いため、ペンギンの肺にカビが生えてしまう…
・平均2,500mで計算するとふっ点は91℃。カップラーメンがおいしく作れない
(関口 寿/ガリレオワークス)