これから社会に出ようとしている学生にとって、「ビジネススキルとは何ぞや」という疑問は当然のものです。就職活動を通して大学のOBたちに「今のうちにどんなビジネススキルを身に付けておけば良いですか」と聞いても、みんな違うことを言うため、結局ピンとこなくて何もしないまま新社会人になったという人も多いでしょう。そこで今回は、ビジネススキルについてまとめてみました。

■勉強するクセをつける

社会人になると、学生とは違った時間の流れになります。毎日同じように会社に行き、仕事をして、帰る。学生時代に勉強していた昼間が、社会人になると仕事をする時間となるので、自分で意識しないと「勉強する」時間を作らなくなります。もちろん会社に入って仕事に慣れる過程で、ある意味では勉強していると言えるのですが、それが受け身になっているのなら、意識的に勉強するようにした方が良いでしょう。

・社会人になっても自分で勉強する意識を持つ

ここで言う勉強というのは、何かの資格試験に向けた勉強だけとは限りません。いわゆる「社会勉強」も大切な勉強です。また、現在の日本では「やり直し勉強」というような名前で、昔学校で勉強したはずの歴史や理科などを改めて見てみるということも流行っています。社会人になってから見直してみると、純粋に興味がわいてきて、面白いと思えるものにも出会えます。

■社会のしくみ・数字・語学

ビジネススキルとして具体的に取り組むと良いものを挙げてみましょう。

・社会のしくみ

会社のしくみも含まれますが、広く一般の社会常識を学ぶことが大切です。こう聞くととても広い範囲なので途方に暮れるかもしれませんので、おすすめは何かの資格試験に取り組んでみることです。例えばビジネス実務法務検定や環境社会検定（エコ検定）です。ビジネスに関する法律を学ぶことは、実務を学ぶことに通じます。おおまかに「誰の、どんな権利を守ろうとしているのか」を考えていくと、結局は常識的な判断に行きつくことも多いのが法律です。また、環境問題や法令順守の意識は、これからのビジネスパーソンには必須になってくるでしょう。

・数字に強くなる

数字とは特に、会社の財務諸表です。どんな会社も、世の中に何らかの役に立つことを提供して、利益を得てこそ存続できます。会社に関わる数字にはどんなものがあるのか、ニュースでよく聞く「負債」とか「金利」とか「株価」が、自分の仕事や給料にどのように関係しているのか。それを実感すると、「大企業に入れたからもう安心、あとはお偉いさんたちが何をしようが我関せず」ではいられなくなります。

・語学はプラスアルファというより必須

英語ができない人はたくさんいますが、その一方、英語ができるということだけですぐに強みになるような時代ではなくなってきています。むしろ、英語ができないことによるマイナス面が表れてきているところもあるでしょう。語学は必須スキルと考えて、とにかく早く取り組んで身に付けてしまいましょう。英語だけでなく、中国語なども話せるようになると、入りこんでいけるビジネスシーンが広がるかもしれません。

■社会人基礎力（経済産業省）

経済産業省は、「社会人基礎力」というものを提唱しています（※1）。「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」のことで、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力から構成されるとしています。これは、資格や専門知識といった個別的なスキルのことではなくて、それを社会で活用していくための素養のようなものです。

社会人基礎力には、主体性や計画力、傾聴力などといった12の能力要素が規定されているのですが、それらは抽象的に見えるかもしれません。もし、ビジネススキルとして具体的に使ってみようということであれば、例えば問題に突き当たったときにチェックリストや多角的な視点として使ってみると良いでしょう。今の自分に足りていない考え方に気付かされるかもしれませんよ。

・経済産業省の「社会人基礎力」を調べてみる

■ビジネススキルは自分でどんどん身に付けていく

ビジネススキルと一口に言っても、立場や責任によっていろいろなものが考えられます。これから社会に出るのであれば、数字や語学から手を付けてみると良いでしょう。すでに社会人として働いているのなら、自分の置かれた環境に合ったものを少しずつ身に付けて、深めていきましょう。

（ファナティック）

参考サイト（※1）社会人基礎力（経済産業省） http://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/