アジア・ビール紀行「最高の喉ごし」を探して

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アジア・ビール紀行「最高の喉ごし」を探して

アジアのビールが美味い。これはバックパッカーの総意と言っても過言ではないと思う。

もちろん、アジアでなくても世界各国に独自の銘柄のビールがある。だがどういうわけか、アジア諸国のビールの味が格別に美味いと感じる。

恐らく、アジアの銘柄の大半が、日本人の口に合ったラガーだからではないかという気がする。それに加え東南アジアは常夏で、高緯度に位置するモンゴルも夏はだいぶ暑くなるから、そのような環境で飲むビールは一段と美味だ。

しかも、それらのビールは、日本ではなかなか手に入らない。

いや、専門的な販売店に行けばあるのだが、スーパーマーケットやコンビニなどではやはり買えない。値段も日本の製品より若干高くなってしまうくらいだから、わざわざアジアのビールを日本国内で好んで飲む人は少ないだろう。

だがそれは、我が国の酒税と関税の問題だ。

ビールの味はどこにいようが変わらないし、忘れられない。

■ 遊牧民の国のビール

モンゴルの酒事情は非常に面白い。

もともとモンゴル人は強い酒を飲む習慣がなく、国民全員が遊牧民だった時代は、牛乳を発酵させた低度数の酒を飲んでいた。

だがそれはソビエト連邦の傘下に入った頃から変化する。ロシア人がウォッカを持ち込んだのである。高度数の酒が突如現れることで、モンゴルの酒文化は飛躍的な進化を遂げる。

今ではモンゴル人も多種多様な酒を飲む。

首都ウランバートルには数多くのビアホールやカクテルバーがあり、週末は若者で賑わう。特に夏は日本と同様“ビールの季節”と見なされ、大量のビールが消費される。

ビヤホールに行けばギネスやハイネケンなどの外国銘柄も置いてあるが、やはり地元銘柄の『チンギスビール』の人気は不動のようだ。

ウランバートル市民は、缶や瓶のビールよりもサーバーから出る生ビールを好む。これはあくまでも筆者個人の感想だが、数種類ある『チンギスビール』の中でも『チンギス・ブラック』と呼ばれる黒ビールが程よい苦味もあり、一番日本人の喉に合うのではと感じた。

特に真夏の夜7時頃、高緯度のせいでまだ日が沈み切っていないうちから『チンギス・ブラック』を飲む。この国は乾燥していて、すぐに喉が渇くから1パイントのビールなどあっという間になくなってしまう。

そしてモンゴルという国は、時間問わずどこに行っても必ず酔っ払いがいる。そんな環境だから日本とは違い、昼間からビールの1杯2杯あおっても白い目で見られたりはしない。

早い時間から飲む『チンギスビール』も、また格別だ。

■ 独自銘柄あれこれ

東南アジアにラオスという国がある。内陸国で、国土の大部分が山地だ。ごく一般の日本人にはまったく馴染みのない国だが、バックパッカーの間ではタイに次いで人気のある旅行先だ。

そしてラオスには『ビア・ラオ』という銘柄がある。こちらもラガービールで、非常にライトな口当たりが特徴だ。ビール独特の“重さ”が苦手という人でも、もしかしたら飲めてしまうのではないか。

だが、だからといって軽薄な味わいというわけでもなく、日本のビールにすっかり慣れた人でも、美味しく飲めるのではというのが筆者の感想だ。

この『ビア・ラオ』、ラオスに行けばどんな田舎に行っても必ず置いてある商品だ。広告もあちこちにある。旅行者にとっても「ラオスといえば『ビア・ラオ』」という意識が完全に定着している。

お世辞にも産業に恵まれているとはいえない国において、こうした外国人にも人気の商品があるということは非常に重要だ。現に『ビア・ラオ』は観光客をもたらし、外貨をもたらし、雇用をもたらしている。

そうしたことは、イスラム教徒の多いインドネシアでも同じだ。実はこの国には世界的に有名なビールの銘柄がいくつかある。それらはいずれも同国最大の観光地バリ島から発信されているものだ。

『ビンタン』、『バリ・ハイ』、『アンカー』といろいろあるが、筆者のオススメは『アンカー』だ。

味わいは割とすっきりしていて、下手な苦味がない。

以前、同じ宿泊先で仲良くなった韓国人も「『アンカー』が一番飲みやすくて美味い」と言っていた。

だが不思議なことに、インドネシアのバーや飲食店では『ビンタン』の取り扱いが一番多く、次に『バリ・ハイ』、その次に『アンカー』という位置付けだ。

『ビンタン』はあるけど『アンカー』はないという店は多いが、その逆は少ない。

インドネシアは、東南アジア諸国の中でも酒の値段が高い国だ。だがその分、高温多湿の気候に合ったビールが用意されている。

特に乾季真っ盛りの8月頃に飲む『アンカー』の喉ごしは、一度経験したら忘れられないだろう。

■ 「ビール巡り」という贅沢

以上に挙げた銘柄以外にも、アジアには様々なビールが存在する。タイの『シンハ』、シンガポールの『タイガー』、中国の『青島ビール』等々。

だがそれらをこの記事で全て紹介することは、残念ながらできない。

一番いいのは、やはり現地へ行って実際に飲んでみることだ。決して難しいことではない。

日本の羽田からマレーシアのクアラルンプールまで、オフシーズンのエアアジアを利用すれば片道1万数千円で行ける時代だ。地球は確実に小さくなっている。

ビールのためにアジアを巡る。実はこれこそが、我々に許された「最高の贅沢」だったりするのだ。

【参考】

※ Chinggis Beer

※ Beerlao

※ PT.DELTA JAKARTA

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