水と人類、限りある資源の使い方 (2/3ページ)
世界平均くらいの量だが、問題は勾配の激しい火山島なのにダムなどのインフラ整備があまりなされていないという点だ。
乾燥した山岳地帯では、ダムは不可欠である。だがインドネシアの都市開発は、残念ながらジャワ島に偏っているのが現状だ。ジャワ島でなければバリ島やバタム島、カリマンタン島の油田地帯など、外国からの投資が集まりやすい地域ばかりが優先開発される。
だからフローレス島のホテルに行くと、グレードの高いところはともかくとして中級以下の宿のシャワーは小便みたいなものだ。下品な表現だが、それ以外に例えようがない。
水を浪費しないために、ホテルのスタッフがいちいち水道管の元栓を閉じてしまうということもザラにある。
■ 水は神聖なもの
フローレス島はカトリック信徒が優勢の島だ。山奥の集落にも必ず教会があり、ヴァティカン公認の神父が常駐している。
日曜日になると、フローレス島内の教会は信者でごった返す。そしてカトリックの定めた祝祭日には、祭壇の上になぜか大量のミネラルウォーターが置かれる。
「あれは神への捧げ物なんだ」
とある男性が、筆者にそう教えてくれた。フローレス島では飲み水が貴重であるが故に、それが捧げ物として充分な価値を持つのだ。現にこの地域でのミネラルウォーターの値段は、どんなに安くてもジャカルタの倍以上はする。
だが、世界的に見ればフローレス島はまだ平均水準だ。仮にも年間800ミリの雨が降る。それにすら恵まれない地域も、この世界には存在する。
筆者はモンゴルのカラコルムへ足を運んだことがある。かつてモンゴル帝国第二代皇帝オゴデイが、ここを帝国首都と定めた。世界遺産エルデニ・ズー寺院があることでも知られている。
この周辺を住処とする遊牧民にとって、オルホン川は生きるのに欠かせない“命の水”だ。ゲルに住む少年少女たちの一日は、オルホン川への水汲みから始まる。