お金は心で動かされる?心とお金を動かす接客トーク術
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接客で押し売りが苦手だという販売員の方や、自分で選択したつもりなのによく考えてみると営業トークに乗せられてしまってた方は結構多いのではないでしょうか?
今回は、接客で仕事をしている人にも営業トークに乗せられてしまう人にも必見のお話です。
■二者択一で迷っているなら、情報を1つ追加する
例えば、あなたが旅行代理店の従業員だったとします。
ある日、老夫婦のお客様がやってきて、「たまには旅行もいいわね」なんて話しながら楽しそうに国内旅行のパンフレットを見てまわっています。しばらく様子を見ていると、どうやらその老夫婦は、お寺や神社などに行きたいらしく、奈良にするか京都にするか迷っているようです。
奈良のプランは「法隆寺・薬師寺・春日大社の観光、朝食付き、2泊3日、30,000円」、一方、京都のプランは「金閣寺・清水寺・伏見稲荷の観光、朝食付き、2泊3日、30,000円」でした。どちらも、3つの観光名所を巡れて2泊3日朝食付きの30,000円というプランなので老夫婦はずっと迷っています。
あなたはこんな時、どのような声かけをしますか?
正解・不正解はありませんし、嘘もよくありませんが、「実は、今お客様が見ておられる奈良のプラン、実は先週まで同じ30,000円で法隆寺と薬師寺だけだったんですよ」などと言ってみてはいかがでしょうか。すると途端に、奈良のプランがお得に感じてしまい、「だったら奈良にするわ」と仰っていただけるかもしれません。
本当は先週までのプランなんて今の二者択一に全く関係がないのですが、勝手にお客様が「お得だ」と思い込み、かつ自分の意思決定によるものなので押し売りをされた気分にもならず、気持ちよく申し込んでいただけるかもしれません。
■セール品なら、損する金額を伝える
先ほどは既にとても買う意欲のあるお客様が二者択一の状態にある時のお話でした。次は、まだそれほど「欲しい!」という状態ではなく、興味はあるけれど買おうかどうか迷っているお客様に対してセール品を売る時のお話です。
例えば、キャンペーンの多い家電量販店の従業員だった場合。最近話題のタブレットが各社の価格競争のため通常価格30,000円のところ、今だけ20,000円だったとします。そこにお客様がやって来て、タブレットを手にとって操作しだしました(ただ見ているだけの人より商品をちゃんと触っている人の方が購入率が高くなります)。
スペックなどの質問を受け、対応しているとお客様から料金面で「また今度にしようかな。」という発言がありました。こんな時は、「今なら10,000円引きでオトクですよ。」と案内するより「今だけのキャンペーンなので、同じ商品なのに10,000円損するかもしれませんよ。」と案内してみてはいかがでしょう。
多くの人は、同じ金額“得する”より同じ金額“損する”ことをより大きく評価してしまいます。給料が10,000円アップしたら1ヶ月で喜びが消えて慣れるけれど、給料が10,000円ダウンしたら3ヶ月経っても明細を見るたび落ち込むのと同じです。
いかがでしたか? 接客業をしている人もそうでない方も、どこで消費者の心が動かされるか感じ取れましたでしょうか。今後のお仕事や賢い消費に役立ててくださいね。
(鍛治田祐子)
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