被災地から、自ら光となり、笑顔を取り戻す (2/3ページ)
■ 「魂が震える心に届く練り物づくりを目指す」

魚の旨味がしっかり感じられ、かみごたえもしっかりした商品づくり。例えばちくわは、おでんで味がしみやすいように工夫が施されている。
式典後、高橋氏は社員に告げた。「これまでと同じではダメだ」。
皆が怪訝な顔をしたに違いない。これまでも高品質の練り物や揚げ物を無添加で35年間生産し学校給食や生協等に販売し、評価されていたからだ。
「1,500名ものボランティアが来てくれたんだ。彼らの時間や思いに応えるには、我々は変わらねばならない。たかが練り物でも、心に届き魂が震えるような練り物を作ろう!」。
それから納得できるまで、1週間試作を重ね約1トンもの商品を無駄にした。
「素材が喜び、妥協を許さない、命の鼓動が聞こえる練り物をつくる」という信条を貫くために、毎日違う魚や素材を生で食べ、製造も原料や気候により微妙に調整される。
すべての製品は、高橋氏はじめスタッフが試食し許可されないと稼働できない。時には昼までラインがとまることもある。
毎日製造作業は14時に終え、17時までは清掃や殺菌作業に費やし、細菌検査を実施。大手流通のQCチェックにも合格した、高レベルの衛生管理を地道に続けている。
放射性物質も規制以上に厳しい自己基準を設定し、再稼働以来4年間食を提供する者の責任を自らに課している。
■ 「傷ついた人の心のケアと、共働(協働)の場を」

同社で記念植樹し栽培されているハーブを使ったサシェが販売され、「石巻地域若者サポートステーション」の活動と、被災者の就労支援を形にした。
震災後、高橋氏は事業だけでなく生き方そのものを自問自答し続けた。