小泉進次郎「TPP説得全国行脚」で露呈した「客寄せパンダ」の限界 (2/2ページ)

アサ芸プラス

「これは進次郎氏の十八番で、過去に佐賀や熊本など農業県での選挙応援の演説では、必ず地元農産品を紹介しています。ところが、演説に拍手喝采を送る農家の不安材料であるTPPにはひと言も触れなかった。今回も五十歩百歩でした」

 例えば、意見交換会を締める最後の挨拶で、進次郎氏は「8兆円の農業生産高で2兆円の農業予算」や「20年間で71兆円の予算が投じられたのに農業生産額は減少」という文言を使った。これは同席した前農林部会長の発言を引用したもの。また、農業関係者からは「中長期的対策作りが先決ではないか」などと、農業政策の構造改革や制度見直しを求める声が相次いだ。同時に、TPP対策の取りまとめを急ぐ自民党への疑問も出て、「TPPへの不安より(自民党の)拙速な短期的対策のほうが不安」との意見が出た。

 すると、進次郎氏は最後の挨拶でこの厳しい発言を引用、正論と絶賛したのだ。

 ところが、意見交換会終了後に囲み取材に応じた進次郎氏は、自民党の対策取りまとめの日程に質問が及ぶと、こう答えた。

「(予定どおり)17日までに最大限の対策を作る。ただ、それで支援策は終わりではない」

 農家にもイイ顔をして、自民党にもイイ顔をする、どっちつかずの八方美人な対応である。これには参加した農家も落胆している。

「TPP発効は2年先。すぐに対策をまとめる必要はないのに、こんな急な日程で出される対策は選挙目当ての補助金バラマキぐらいだ」

 実際、西川公也元農水相は高知の意見交換会で「土地改良予算を2年から3年で2184億円増やす」と発言。農水族議員が旧来型農業の予算復活を画策しているのは確かだ。

 安倍総理を前にして物言わぬ自民党で、政権批判できる唯一の存在である進次郎氏。農家も構造改革を期待していた。そして、父親の雄姿を想起していたのだろう。が、

「小泉構造改革にとって族議員は抵抗勢力だ」

 と、今の進次郎氏には農水族を一刀両断にできないようで、これが“客寄せパンダ”の限界なのか‥‥。

「小泉進次郎「TPP説得全国行脚」で露呈した「客寄せパンダ」の限界」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2015年 11/26号TPP小泉進次郎自民党社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
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