【インドネシア市民と日本観光・後編】スキーリゾート再生への道 (2/3ページ)
■ 日本は「夢の桃源郷」

インドネシア人は雪に対して強い憧れを抱いているということは、前編で書いた通りだ。
だが同時に、アメニティーに対する要求の強い人たちでもある。バブルの頃のように「とにかく人を集め、とにかく腹を満たしてやればそれでいい」とはいかない。
もしインドネシア人旅客にレトルトのカレーやラーメンを出せば、まず驚かれ続いて激怒されるだろう。
彼らの祖国の最低法定賃金は、首都でも200米ドルほどである。それでも“夢の桃源郷”を求めて日本へやって来たのだ。「スキーができればそれでいい」などとは決して考えない。
それに、インドネシア人の大半がイスラム教徒だということも忘れてはいけない。料理に対するハラル認証を取得するのは難しいとしても、豚由来の材料とアルコールを避ける『ムスリムフレンドリー』を心がける必要がある。
そうでなくともインドネシアからの旅客は、この旅行が“一生に一度の旅”となる可能性が高いのだ。何度でも日本を訪れることができるのは、日系企業に在籍しているビジネスマンかアッパークラスの人々のみである。その重みは計り知れない。
■ リゾート開発と環境保護
バブル期のリゾート開発は、地元の自然環境との調和を無視したものが殆どだった。
大きく広いホテルには大宴会場があり、カラオケがあり、レストランがあり、温泉があり、スイートルームがある。もちろんそれらの要素を求めるのは悪くないことだが、問題はそうした施設を量産するために土地特有の景観を破壊していたという点だ。
インドネシア人は、日本の自然を堪能したいと考えている。春夏秋冬それぞれ色の違う木の葉と山々の表情、海辺の風景、そして桜。繰り返すが、彼らにとっての日本は“夢の桃源郷”なのだ。自然破壊が進み、見渡す限り人工物ばかりのリゾート地は桃源郷とは言わない。